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1994 Fiscal Year Annual Research Report

科学のナラトロジー的分析と真理および存在の概念

Research Project

Project/Area Number 06610003
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

野家 啓一  東北大学, 文学部, 教授 (40103220)

Keywordsナラトロジー / メタファー / アナロジー / 生命誌 / 科学的真理 / 理論的存在 / レトリック / コスモロジー
Research Abstract

本年度は収集した基本文献や資料の分類と整理に努めるとともに、そこから科学論文に特徴的な修辞的表現や科学的説明に現れるメタファーやアナロジーの使用を抽出し、それをデータベース化することにかなりの時間を費やした。それと並行してC.ヘンベルの「被覆法則モデル」の再検討を行い、科学的説明を補完する対応規則の中ですでに修辞的要素(モデル、メタファー、アナロジー)が重要な役割を果たしていることを明らかにすることができた。また、具体的な事例分析として、生命科学者の中村桂子氏が提唱した「生命誌(biohistory)」の概念を取り上げ、その科学論的基礎づけを試みた。その過程で、17世紀以降の西洋科学史の展開の中に見られる「自然哲学(natural philosophy)」と「自然史(natural history)」という二つの科学的アプローチを対比し、とりわけ後者の現代的意義を解明できたことは大きな収穫であった。この「フィロソフィア」と「ヒストリア」の関係をめぐる考察を、今後はさらに「コスモロジーの再興」という問題意識と結び付けていきたいと考えている。しかし「科学のナラトロジー」を方法論として確立する作業にはまだ手がついておらず、M.ヘッセ、T.クーン、R.ボイドらの著作や論文から得た示唆を具体的考察に活かすことはこれらからの課題といえる。また、当初の予定では19世紀の「科学の制度化」の過程に踏み込んだ歴史的研究を行うつもりであったが、予想以上の時間と労力を必要とすることがわかり、ごく部分的な考察に留めざるをえなかった。ただ、研究の途中経過を学会等で発表し、一定の理解を得るとともに、専門家からの貴重な批判と助言を賜ったことは、次年度の展開へ向けての何よりの励みとなった。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 野家 啓一: "「生命誌」をめぐる断想" 現代思想. 22巻10号. 262-267 (1994)

  • [Publications] 野家 啓一ほか8名: "科学論(岩波講座「現在思想」第10巻" 岩波書店, 349 (1994)

URL: 

Published: 1996-04-08   Modified: 2016-04-21  

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