1994 Fiscal Year Annual Research Report
ギリシア教父哲学とヘブライ思想の言語論・行為論を用いて現代人間論を再構築する研究
Project/Area Number |
06610004
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 久雄 東京大学, 教養学部, 教授 (50157682)
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Keywords | ヘブライ思想 / 教父哲学 / イエス / エイコーン / ロシア / 他者 / 自由 / 全体主義 |
Research Abstract |
今年度にヘブライ思想及び教父哲学を基盤にし,現代における人間の成立の思索が深められた。そのために名古屋,九州において24回にわたる共同研究会が開かれ,『1人の生ける人の物語』(イエス)の1巻が12月に出版された。著者スヒレベ-クとの交流もあった。これによってヘブライ思想中の共同体論・世界観における自律,歴史性,自由性が明らかにされた。また『パトリスティカ』や『エイコーン』の雑誌刊行によって,西欧哲学とヘブライ思想の交流や東欧・ロシア思想が論究された。そこではラテン世界の行動主義的性格と東欧・ギリシア・ロシア世界のテオ-リア性が明らかにされた。さらに現エルサレムのフランス聖書学研究所教授のBoismard氏を招き,研究会を開いた。筆者はこれらの成果を12月九州大学にて発表した。そこで「他者」の問題が論議され,自由が人格,人間成立を圧殺する思想的全体主義に対する抵抗の拠点たりうることが示された。またユダヤ人女性思想家ハンナ・アレント研究もこの知見に1役買っている。以上の出版,研究会,招待滑動を通じ,人間・倫理論が深まった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 宮本久雄: "ニュッサのグレゴリオス『雅歌講話』(二)" エイコンーン. 11. 2-10 (1994)
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[Publications] 宮本久雄: "ニュッサのグレゴリオス『雅歌講話』(三)" エイコーン. 12. 2-10 (1994)
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[Publications] 宮本久雄: "東欧・ロシア文明の回廊" 春秋社, 255 (1994)
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[Publications] 宮本久雄: "テキストと解釈(現代思想9)" 岩波書店, 346 (1994)