1995 Fiscal Year Annual Research Report
西洋中世における新プラトン主義の思想源泉の研究 -プラトンの『パルメニデス篇』をめぐって-
Project/Area Number |
06610006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡崎 文明 金沢大学, 教育学部, 教授 (20117005)
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Keywords | 新プラトン主義 / 『パルメニデス篇』 / 第二の仮定 / プラトン / プロクロス / ヘーゲル / 止揚 / 弁証法 |
Research Abstract |
本年度は新プラトン主義の思想源泉と影響作用史の研究をなした。まず一つは、新プラント主義の影響作用史の研究でる。なぜなら、プラトンの『パルメニデス篇』は難解な書物なので、これを解釈をしていくために今までの解釈史を調べておく必要があったからである。具体的には、近世の哲学者ヘーゲルへの影響の研究である。テクストを仔細に調べてみると、プラトン『パルメニデス篇』の影響は実にヘーゲルにまで及んでいる。ヘーゲルは『パルメニデス篇』を「難解な対話篇の部類に属する。なぜなら純粋の思想を扱っているからである。」(『哲学史講義』)と、また「古代弁証法の最大の傑作である。」(『精神現象学』)とも、高く評価している。しかしヘーゲルはプラトン哲学をプロクロスの解釈を介して受容しているとされる。したがってヘーゲルによるプロクロスの解釈をも明らかにしなければならなかった。テクストを仔細に調べてみると、ヘーゲルは明らかに新プラトン主義の影響を受けていた。たとえば彼の「止揚」の概念はプロクロスの『パルメニデス篇註解』における「否定」の概念より示唆を受けている。さらに「弁証法」はじめヘーゲル哲学の主要概念もプロクロス哲学から何らかの影響を受けているのが見られた。したがってヘーゲル哲学全体が新プラトン主義、特にプロクロス哲学から何らかの影響を受けている可能性が高いと思われる。そしてこの研究結果の一部を「11.研究発表」に挙げた論文「プロクロスとヘーゲル(一)-ヘーゲルによるプロクロスの「-」の解釈-.」において発表した。残りも続いて発表していくつもりである。 また、いま一つ は新プラトン主義の思想源泉の研究である。これは上の射程とは別に、プラトンの『パルメニデス篇』自体の研究である。これも昨年に続いて『パルメニデス篇』における「第二の仮定」の解明に向かった。この「仮定」は西洋中世以後に影響を与えている重要な思想であるからである。目下、この研究自体はかなり難航しているが、その結果は来年度に発表する予定である。
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