1994 Fiscal Year Annual Research Report
数学の哲学における実在論と構成主義の関係についての研究
Project/Area Number |
06610013
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
金子 洋之 専修大学, 文学部, 助教授 (60191988)
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Keywords | 直観主義 / 実在論 / 構成主義 / フレーゲ / 正準証明 / プラトニズム |
Research Abstract |
本研究の第一の課題は、数学の哲学における実在論的立場と構成主義的立場のそれぞれを立ち入って考察することによって、両者の対立点が具体的にどこに位置づけられるかを明らかにすることである。この点に関しては、次のような二点において一定の前進をみることができた。 (1)構成主義的立場の代表と考えられる直観主義において、とくに直観主義数学の意味論に関し、それを理解可能な見解として維持するのに必要と考えられる正準証明の概念の具体化に一定の見込みを得ることができた。より詳しくは、正準証明につきまとう非述定性を回避するのにあたって、ブラウワ-的な証明概念を使用し、それによって所与の証明という概念に一定の枠組みを与え、非述定性を回避するという可能性が明らかとなった。また、この研究の過程で、心的構成の概念に複数のタイプがありうることも明らかとなった。これらの成果は直観主義の見解を一層具体的な見解として解釈する上で重要な前進とみなされる。 (2)ライト、ヘイルらのフレーゲ的実在論とフィールドらに代表される唯名論との間の論争を概観することによって、実在論の在り方が必ずしも物理的世界における知覚との類比に基づく必要がないこと、抽象的対象の実在性と通常の意味での反実在論の間には一定のレベルの相違があって、必ずしも対立するわけではないことなどを明らかにすることができた。
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