1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本思想史研究の成立とドイツ文献学の受容に関する研究
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06610037
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 正之 東京理科大学, 工学部, 教授 (60162715)
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Keywords | 日本思想史 / 国民道徳論 / 日本人論 / 芳賀矢一 / 村岡典嗣 / 和辻哲郎 / ドイツ文献学 / 国学 |
Research Abstract |
本年度は、前年の芳賀矢一を中心とした考察をふまえ、村岡典嗣について検討し、さらに両者と国民道徳論との関係を視野においた。 1.芳賀の場合、国学の近代的再編というねらいは、国語学・景観・倫理思想・社会制度の解釈の近代的改編でもあった。しかし、その古典への方法的傾斜は哲学的な現実理解とはやや異質であった。国民道徳論はむしろ、その間の実践的方向を明示しており、国民道徳論の西洋学の移入を専らとした倫理学への批判は、あらためて検討すべき課題であることが確認できた。 2.芳賀においては日本の思想史研究は、あくまでも国文学の一部門であった。それに対して村岡の場合は、哲学の一部門としての日本思想史の学問的確立がそのめざすところである。村岡はその初期に、宗教哲学への関心を示しているが、それは日本思想史研究への反映し、その研究は、対象においても方法においても、日本思想史および思想家の中にある種の宗教的、超越的契機を探るものとなてっいる。その点で専ら反宗教的見地に立ち、またそれを国学の継承と見る芳賀とは異質である。 3.後に和辻哲郎において、その日本(倫理)思想史研究が、「全体性」の契機を強く浮かび上がらせ、その反面個性的思想(家)を描かないとみえるものが、和辻の解釈学の日本思想史研究への受容の問題として上記(2)とともに考えるべき問題となった。
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Research Products
(1 results)