1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610050
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 治彦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00173435)
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Keywords | ヤン・ファン・エイク / 初期フランドル絵画 / イタリア絵画 / フレーデマン・デ・フリース / 透視画法 |
Research Abstract |
平成6年度は、おもに建築物を外側から単体または群として描いた建築画を対象に研究を実施した。 研究初年度はオランダおよびベルギーの重要文献の入手と内容の分析に重点を置いているが、入手資材のなかでは特にヘント大学美術史考古学研究紀要に興味深い新資料ならびに考察が見出される。初期フランドル絵画のなかではヤン・ファン・エイクの作品に描かれた建造物の分析に重点を置いた。そのうちのいくつかに関しては、同時代のイタリア絵画との関連をかなりの程度確証することができた。 ネ-デルラントにおいて建築画を初めて専門としたハンス。フレーデマン・デ・フリースは、セルリオやウィトルウィウスなどによるイタリアの建築書を詳しく研究していることがわかった。フレーデマン・デ・フリースが1566年頃に制作した建築の内外を描いた作品は正確な透視画法を基礎としている。デ・フリース父子は17世紀初頭に透視画法についての本を出版し、それは画家のみならず建築家にも相当な影響を与えたと推定される。 フレーデマン・デ・フリース以後のネ-デルラント建築画で注目されるのは、ペーター・サエンレダムに代表される建築室内画、とくに教会の内部を描いた絵画作品である。教会建築画の表現上の変遷に関しては上記の透視画法の導入以上に宗教改革が大きな影響を及ぼしていたことがかなり解明されてきた。 平成7年度の本研究においては室内画の分析が加わってくるので、この問題については内部空間の美術史上、建築史上の変化などの観点を新たに加えて、次の展開を計ることにする。
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