1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610058
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊地 正 筑波大学, 心理学系, 教授 (80161420)
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Keywords | 視覚情報処理 / 注意の分布 |
Research Abstract |
研究目的(II)の「促進・抑制過程による注意の空間的分布の時間的変化の検討」について、昨年度に引き続き、8x8の格子の中に赤と緑の文字を混在させたターゲット刺激を短時間提示した後にプローブを提示し、プローブ位置での文字報告の正答率を測定した。被験者には一方の色の文字に選択的に注意する教示を与えた。ターゲットとプローブ提示の時間間隔を100ms〜1100msに変化させ、この時間間隔で生じるであろう処理の促進と抑制過程を検討した。注意文字が検査された場合には時間間隔の変化にもかかわらずほぼ一定の成績が得られたが、非注意文字の場合には成績は次第に低下した。各格子位置での正答率を基に等高線様の等正答率地図を描き、注意・非注意の空間的分布を作成したところ、中心部で高く周辺部で次第に低下する山型の分布が得られた。特に非注意の場合には時間間隔の増加に伴い山型分布のピークが低下し平坦な分布となった。情報処理の進行にともなって生じる処理の促進と抑制過程については平成8年度でも高速系列提示法を用いて更に検討を進める予定である。 目的(III)の「大きな視野での注意の空間的分布の測定」については、大きな背景テクスチャーに埋め込まれたターゲットテクスチャーの検出実験を行った。ターゲットの挿入位置ごとに検出率を求め、同様に等高線様の等検出率地図を描いたところ、焦点的注意を必要とするテクスチャー分離条件で、中心視野よりもやや周辺視野で検出成績が高いという興味深い結果が得られた。大きな視野を監視する場合にはリング状の空間的注意分布をなすという示唆が得られた。
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