1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610058
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊地 正 筑波大学, 心理学系, 教授 (80161420)
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Keywords | 視覚情報処理 / 注意 / 高速系列提示 |
Research Abstract |
最終年度である平成8年度では,研究目的II(注意の空間的分布の時間的変化の検討)とIV(診断的指標としての注意の測定の有効性の検討)を計画した. 研究目的IIでは,被験者に3x3に配列された9文字の刺激画面系列15枚を高速で提示し,緑色の文字の刺激画面系列の中に含まれているターゲットの赤い文字を報告させる課題を与えた.文字報告がどの刺激画面のどの場所の文字であるか分析することにより,注意の時間的空間的分布の測定を目指した.実験の結果,ターゲット位置以外の空間位置からの報告エラーはほとんど生起しなかったので,空間的広がりは測定できなかった.しかしターゲット位置ではあるが,異なる画面からの報告エラーは頻繁に生じ,時間的な分布は測定できた.ターゲットの空間位置と時間が未知である場合には,ターゲット画面の直後画面から報告される後項目エラーが生起した.一方,ターゲット位置が既知である場合には,ターゲット画面の直前と直後画面からの報告が等しい対称エラーパターンが得られた.この結果は,色属性と形態属性の結合がボトムアップ的な処理過程のみから成立するのではなく,方略の変化によるトップダウン的処理に影響されていることを示唆する. 研究目的IVでは,精神分析病の患者が注意障害を示すという知見から,高速系列提示法の分裂病患者への診断的応用の可能性を検討する計画を立てた.筑波大学心理学系伊藤宗親氏の協力を得て,漢字熟語の高速系列提示課題を分裂病患者に課した.高速系列提示課題のデータを収集し,患者の病質との関連性を検討した.
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