1994 Fiscal Year Annual Research Report
ラットの対連合記憶の形成に関わる動的神経回路の解析
Project/Area Number |
06610063
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜井 共雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (60153962)
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Keywords | 記憶 / 連合 / ニューロン / 聴覚皮質 / 海馬 / ラット |
Research Abstract |
まず刺激間連合の観点に基づき記憶情報処理の種類を整理し、同時的な対連合による複合(compound)刺激の記憶を対象とすることとした。そして、そのための記憶課題として、特定の音と光の同時提示による複合刺激を選ぶ視覚-聴覚configural弁別課題を設定し、また音刺激のみによる聴覚単純弁別課題と、光刺激のみによる視覚単純弁別課題も設定した。 これら3種の記憶課題を同一ラットに遂行させ、その際の聴覚皮質と海馬領域の複数ニューロン活動を記録した。各記憶課題において、弁別刺激間で有意にdifferentialな応答があった場合、そのニューロンはその記憶情報処理に関わっていると判定した。これまで聴覚皮質では合計62個のニューロンを記録した。それらのうち、いずれか1つの記憶課題つまり記憶情報処理のみに関わるニューロン、2つの記憶情報処理に重複して関わるニューロン、3つ全ての記憶情報処理に重複して関わるニューロン、それぞれが20数%ずつのほぼ等しい割合で見つかった。またconfigural弁別課題、つまり同時的連合による複合刺激の記憶情報のみに関わるニューロンは無かった。これらの結果は、記憶情報処理において、single neuron codingではなく、ニューロン間の重複を持つcell assemblyによるpopulation codingが行われている可能性を示唆している。現在さらに海馬領域から同様の記録と解析を進めている。 また、各記憶課題遂行中に同時記録した複数ニューロン活動間の相互相関解析を行い、それらの機能的シナプス結合についても検討している。現在まだ解析中であるが、提示刺激の種類に対応するシナプス結合だけでなく、記憶情報処理の種類に対応して変化するシナプス結合がいくつか見つかっている。
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