1995 Fiscal Year Annual Research Report
魚類および鳥類の振動性感覚に関する比較神経心理学的研究
Project/Area Number |
06610065
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大井 修三 岐阜大学, 教養部, 教授 (70092393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 捨夫 岐阜大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (40118849)
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Keywords | 振動性感覚 / カジカ / 九官鳥 / 振動刺激弁別 / 人言語模倣 |
Research Abstract |
平成6年度での日本産カジカの人工環境下での飼育の成功は、カジカの行動研究を可能にした。それを受けて開始された振動刺激弁別学習は、水流刺激を手がかりとし、餌の位置を弁別するという課題であった。この課題による学習が本年度も継続され、カジカは水流を手がかりに、餌の位置を特定することができることが明らかとなった。これは野生環境での餌の確保に、水流(川や渓谷などの流れの中にできる流れの違い)を手がかりとして利用していることを示唆するものである。これと平行して神経系の組織研究が行われており、成果が集積されつつあるが、機能と結びつける細かな部位の特定が、装置と技能の不十分さと相まって十分な成果が得られているとはいいがたい。更なる改良が必要である。 一方、鳥類での振動世界の研究では、九官鳥が被験体として用いられた。飼鳥としての九官鳥は、訓練されるか,音声学習の臨界期までに人言語音を度々聞くことにより,人言語音を発声するようになるものと推察される。この獲得性の人言語音の特徴と、九官鳥の生来の発声音の特徴との関係を明らかにするために、本年度は九官鳥に人言語音を学習させ,その発声音声の特徴を,野生九官鳥の発声に関する文献のデータとを比較検討した。その結果,(1)野生九官鳥の地鳴きと飼鳥九官鳥の地鳴きでは,発声長において明瞭な差は見られなかった。(2)飼鳥九官鳥の模倣音声の発声長は,地鳴き(野生及び飼鳥)の発声長より有意に長かった。(3)発声長の変動について変動係数を用いて検討した結果,地鳴きよりも模倣音声の方において変動が小さかった。以上のことより,飼鳥九官鳥は訓練により長い音声を発声することが出来るようになり,その音声はかなり固定したものであると思われる。しかし,一つの模倣音声でも,その発声の音高や抑揚,音声間の間の取り方では非常に多様な発声が見られることがわかった。
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