1994 Fiscal Year Annual Research Report
音声言語の認知における音韻情報と声質情報の統合過程についての実験的研究
Project/Area Number |
06610085
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
重野 純 北里大学, 教養部, 助教授 (20162589)
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Keywords | 声の評価 / 自然音声の評価 / ピッチ分析 / スペクトル分析 / 音声の心理的属性 |
Research Abstract |
平成6年度は、自然音声の心理的属性すなわち「受ける声・受けない声」「好き・嫌い」等について、どの様なパラメータが寄与しているのかを調べた。具体的には、聴取率からみて客観的に「受けている」と判断されたパーソナリティの様々な調子(朗読調、フリート-キング調、紹介調)の音声を録音し、ピッチ分析(ピッチ抽出、パワー表示)とスペクトル分析、(スペクトログラム、フォルマント軌跡、F1-F2分布)を行った。その結果を一般の人と比較した場合、1.3つのタイプの資料において、プロの語り口はいずれも明瞭度や抑揚に付いて優れている。2.声の高さに付いては、プロは低い傾向にある。これは、一般に加齢と共に聴力は高周波数から落ちてくるので、特に年輩の視聴者にとっては、低い声の方が聞き取り易いため好まれるのかも知れない。3.プロは一つ一つの単語の抑揚が大きいばかりでなく、文節や文章のレベルにおいて、どこを最も強調するかが明瞭で、話の中に「ヤマ」をおいて話す。これは、3つのタイプのどの調子においても認められた。4.フリート-キング調においては、聞き手に考える時間や「次」を期待させる時間を与えておき、次に一気にニュースを読み上げるとい方法がよくとられていた。5.プロは「話の句切り」までを一気に話す間パワーを持続させる傾向にある。6.5と同じ傾向は、フォルマント軌跡においても認められ、プロは「話の句切り」までフォルマント軌跡が持続的に変化する。 平成6年度は、どの様な点が好まれるのか、どの様な印象をもたれているのか等の客観的データがないので、分析結果の解釈が声の評価と対応付けられなかった。平成7年度は評定実験によりこの点について調べるとともに、他の要因についても検討を行う。
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