1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本とアメリカにおける「よい気分/感情」の性質と社会的機能
Project/Area Number |
06610113
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北山 忍 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (20252398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 白百合女子大学, 文学部, 助手 (60255940)
杉万 俊夫 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10135642)
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Keywords | 感情 / 文化 / 自己 / 集合構成主義的アプローチ |
Research Abstract |
平成6年度にわれわれは、記述的、エスノグラフィックなデータを収集した。すなわち、「よい気分/感情」と「悪い気分/感情」にまつわる日米両国における代表的状況を、日米の大学生(京都大学90名、オレゴン大学83名)を対象に調査した。そして、平成7年度には、この結果を受けて、実験的手法を用いた研究をおこなった。まず、第一段階において採取された状況の中から日本とアメリカのデータそれぞれから200をランダムに抽出し、アメリカ産の状況は日本語に、日本産の状況は英語にそれぞれ翻訳した。次に、新たに募った日米の大学生357名(京都大学153名、オレゴン大学204名)を対象に、これらの状況を一つづつ提示した。これらの被験者はランダムに次の2条件に割り振られた。自己判断条件では、各人、それぞれの状況にいるものとして想像して、その状況ではどのような感情を感じると思うか、その「よい気分/感情」と「悪い気分/感情」の度合いを選定尺度上に報告した。典型的他者条件では、まず、被験者は、それぞれの大学にいる同性の典型的な人物を想像するよう求められ、その典型的人物ならその状況にどのように反応するか、同様の選定尺度上に報告した。男性の被験者は男性によって産出された状況200について、女性の被験者は女性が産出した状況200についてそれぞれの判断課題を行った。現時点において、われわれは基礎的分析を行い、さらにデータに見られる様々なパターンの詳細を検討しているが、アメリカ人は日本人に比べて、「よい気分/感情」を感じがちであるのに対して、「悪い気分/感情」に関しては逆のパターンが見られるという仮説は支持されてきている。さらに、このような効果は用いられた状況がそもそもどちらの分化で採られたかにより、また判断が自分に関してか典型的他者に関してかにより異なっているという証拠もえられている。
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[Publications] 北山忍: "文化的自己観と心理的プロセス" 社会心理学研究. 10. 153-157 (1995)
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[Publications] Kitayama, S. & Masuda, T.: "Reappraising cognitive oppraisal from a caltural perspective" Psychological Inquiry. 6. 217-223 (1995)
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[Publications] Kitayama, S. Markus, H. R, Mutsumoto, H & Noralkunkit: "Individual and collective processes in self esteem management" Journal of Personality and Social Psychology. (in press).
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[Publications] 北山忍・高木浩人・松本寿弥: "成功と失敗の帰因:日本的自己の文化心理学" 心理学評論. 247-280 (1995)
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[Publications] 北山忍・唐澤真弓: "自己・文化心理学的視座" 実験社会心理学研究. 印刷中.
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[Publications] 北山忍・唐澤真弓: "児童心理学の進歩「感情の文化心理学」" 金子書房(印刷中),
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[Publications] Kitayama, S. et al.: "The Collective construction of self-esteem:Implications for culture, self, and emotion." T. Manstead, & J. M. F. Dols(Eds). Kluwer Academic Publislhrks, 521 (1995)