1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610127
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
財部 盛久 琉球大学, 教育学部, 助教授 (50175436)
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Keywords | 自閉症乳幼児 / 母子相互反応 / 前方視的検討 |
Research Abstract |
1歳6カ月の幼児65名を対象に自閉症をスクリーニングするためのチェックリストによるスクリーニングを行った.その結果,1歳6カ月時点で自閉症状をまったく示さない対象,自閉症状のいくつかを示す対象と自閉症と診断するほど症状は揃っていないが自閉症の症状のかなり強い対象のいることが明らかとなった. この何らかの自閉症状を示す幼児22名とその母親(ハイリスク群)と発達上の問題や偏りを示さない1歳6カ月児8名(対照群)を対象にして,自由遊び場面における母子の相互反応を観察した.子どもが1歳6カ月から1歳8カ月の間に初回の相互反応の観察を実施した.プレイルームに遊具を置き,30分間の自由遊び場面をVTRにより記録した.撮影開始15分後より10分間の母子相互反応を分析した.両群とも母親から子どもに対して働きかけることが多かった.しかし,対照群の子どもは自分から母親へ働きかけることも多く観察された.一方,ハイリスク群は子どもから母親へ働きかけることがきわめて少なく,この点が対照群との大きな相違点である.ハイリスク群の仲で自閉症状が強い4名は母親に対して関心を示さず,プレイルームの中を走り回るだけであった。今年度は母子相互反応の観察は1回から4回であった.初回の観察で自閉症状が強かった4名の中で2名は1歳8カ月から9カ月の間に,プレイルームの中での行動から自閉症の診断が可能となった。この結果は2歳の時点では自閉症の診断が確定できるケースと2歳から3歳までの間に自閉症の診断が確定できるケースがあることを示している.この両者をいかに弁別するか今後の問題である.
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