1994 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の健康・病気観とHealth Locus of Control
Project/Area Number |
06610130
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
堀毛 裕子 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (90209297)
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Keywords | Health Locus of Control / 病気イメージ / Illness / 保健行動 / エイズ / がん |
Research Abstract |
今年度からの2年間で上記研究課題の達成を計画しているが、初年度である平成6年度には、個人の原因帰属傾向であるLocus of Controlと保健医療問題をめぐる態度との関連性についての検討が主な課題であった。 病気はその生物学的・医学的な側面(disease)だけではなく、様々な社会的・心理的側面(illness)を持つが、健康心理学的アプローチにおいてはillnessが直接的なテーマとなる。そして、個人の保健行動や保健医療をめぐる態度には、各自の疾患に対する認知やパーソナリティー特性などの個人的要因が大きな役割をもつと考えられる。そのため今年度は、まず現在論議されている保健医療問題に関する基礎的な資料を集め、論点を整理することによって取り上げるトピックスを決定し、選択された各トピックに関してSD法によるイメージ測定を行なうことによって各種疾患のイメージ構造を調べ、さらに個人のLocus of Control特性との関連について検討した。 看護学生と大学生の計370名を対象とした調査の結果、各種疾患15種について25対の形容詞によるSD法を実施し、形容詞対の因子構造を検討したところ、予後・力量生・許容度・感受性・心理的距離・活性度の6因子が抽出された。この6因子にもとづいてイメージ構造を検討することにより、たとえば、エイズはがんとは予後で類似しながら活性度で異なるなどの、各疾患の持つ心理的意味(illness)が明らかにされた。また、個人の帰属傾向によりそれらの心理的意味も異なることが示された。さらに、diseaseについての知識の有無や、その疾患についての身近な経験の有無が、疾患イメージの形成に影響を及ぼすことも示されている。 これらの結果の一部は既に平成6年度の日本健康心理学会第7回大会で報告しているが、現在さらに学会発表と論文を準備中であり、これを基礎として来年度の研究を実施していく予定である。
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