1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の健康・病気観とHealth Locus of Control
Project/Area Number |
06610130
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
堀毛 裕子 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (90209297)
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Keywords | Health Locus of Control / 生命倫理問題への態度 / 保健行動 / 健康・病気観の国際比較 |
Research Abstract |
平成6・7年度の2年間で上記研究課題に取り組む計画で、平成6年度には個人の健康や病気に対する帰属傾向(Health Locus of Control:以下HLCと略)と疾患イメージとの関連を検討した。本年度は、大学生とその親の世代を対象として、社会的な関心を集めている生命倫理問題への態度と、個人のパーソナリティ要因としてのHLCとの関連を検討し、さらに国際比較により日本人のマクロな健康・病気観を分析することを目的とした。 収集した基礎的史料から生命倫理に関する現在の中心的なトピック計13項目を選択し、それへの態度を問う質問項目を作成。また、HLC尺度に示される個人の特性と、上記13項目で測定されるような現実の様々な問題への態度とをつなぐ要因として、日常的な心身不調時の行動傾向を把握した。これら3種の質問項目を各々のネイテイブ・スピーカーにより韓国語および英語に翻訳し、質問紙を韓国とアメリカの大学等の調査協力者へ送付してデータを収集することとした。各々の文化的背景により健康・病気の概念やヘルスケア・システムの違いが大きく(そのためにこそ、このような研究に意義があると思われるのだが)、それらを検討しながらの翻訳版の作成には時間を要した。さらに各々の国情や調査時期の問題があり、国際比較分のデータは現在収集の途中である。 日本の大学生及びその親の世代の中年男女については既に調査済みであるが、HLCによる帰属傾向と生命倫理への態度とが、統計的にも有意に関連することが示された。たとえば、内的帰属の高い者はインフォームド・コンセントや自身への病名告知に賛成し、また自身の延命治療を拒否し脳死判定に賛成する一方、臓器のドナーとなることや献体には否定的であり、主体的で自己完結的な死を選択するなど、興味深い知見が得られている。 今後さらに国外のデータをあわせた解析を行い、本年8月の国際心理学会への発表と論文作成を予定している。
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