1994 Fiscal Year Annual Research Report
大衆社会化現象の心理的指標の検討および相関的・因果的関係にある巨視的変数
Project/Area Number |
06610132
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
永田 良昭 学習院大学, 文学部, 教授 (80080373)
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Keywords | 大衆社会化現象 / 社会的自己同一性 / 社会的ネットワーク |
Research Abstract |
研究代表者は、既に伝統的な社会システムにおいて個人の社会的自己同一性の拠りどころとなっていたと推定される、出身地、郷里、職業、年令、未・既婚の別などが、今日では社会的に自己を同定するカテゴリーにはなり得ていないことを示唆するいくつかの事実を明らかにしている(永田,1990;1995) この研究は、それぞれの時代において、いかなる社会的カテゴリーが自己の社会的同定の機能を持つのか、またその変化がいかなる要因によって生じているのかを明らかにすることを目的としている。 平成6年度は、社会的自己同定の基準となるものは、それぞれの人々の生活において重要な意味をもつ事象に関して係りをもつ社会的ネットワークにおいて、そのネットワーク内での社会的役割に対応した社会システム上の位置付けを明確にするような手掛かりが社会的な自己同定の基準になるのではないか、また、心理的な意味で社会的な役割を明示する内容をもたない私的なナットワークにのみ係る傾向を示す人々の割合によって大衆社会化現象を量的、操作的にとらえられるのではないかとの予想をもとに、50歳代の男女を対象とする調査を実施した。 その結果は、この予想をほぼ裏付けるものであり、平成7年度に予想されているさらに大規模な調査および長期的な時代的変化を追跡することによって社会的ネットワークの変化と社会的自己同定に役立つカテゴリーの変化を規定する因果的要因を見出すための伝記的資料分析の枠組を作製する見通しを得た。
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