Research Abstract |
本研究の目的は,社会動機の問題を心理学的ゲーム論を基盤とした理論的立場から捉えて対人関係事態などの社会的相互作用事態における個人の社会動機を検出するために構成された「IF-THEN法」とよぶ心理学的技法の国際的登録版を構成する意図の下に,現時点ではNEC-9800系コンピュータでの使用に限られているものをIBM用に移植して国際版「IF-THEN法」にすること,および,これに伴って,検査の背景,理論的根拠,社会動機成分検出原理,基礎的分析技法,群差条件差を明確化するためのデータのベクトル空間上での定位技法,応用的実験技法などに関する国際的に利用可能な英文マニュアルを作成すること,各国被験者を対象とする教示用紙,反応用紙の原版を作成すること,さらに,これらの有効性の検証を行うこと,そして最後に登録申請することにある。したがって,全体のプロジェクトは,1)プログラム改良(集団データ分析過程の効率化),2)プログラムの移植作業(IBMコンピュータへの移植作業),3)英文マニュアルの作成(前段,後段),4)検査用具整備(反応用紙・教示用紙など「IF-THEN法」検査一式の印刷原版の作成),5)試行実験実施と分析,6)国際登録作業(Groningen大学情報学部所在のProGamma社との連絡,登録申請),7)報告書作成から成る。平成6年度は,プロジェクト1からプロジェクト5までが,まだ再点検・改良・整備の部分がそれぞれ残されているものの一応終了している。試行実験もすでに台湾・中国・ロシアなどで検証済みで,十分に実施可能であることが基本的には示された。その意味では予想よりもかなり順調といえる。したがって,平成7年度は,残された部分を整備するとともに可能ならばさらに国際的資料を収集・分析して登録作業を目指すことが可能であると思われる。
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