1994 Fiscal Year Annual Research Report
子育て終了期(Postparenthood)に見られる親子関係のライフサイクル
Project/Area Number |
06610135
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
古澤 頼雄 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00060632)
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Keywords | 子育て終了期 / 親子関係 / ライフサイクル |
Research Abstract |
研究の目的:(1)子育てを終えた親は現在の自己像に子育ての経験をどのように位置づけているか、(2)子育てを終えた親はこれからの人生にこれまでの子育て経験をどのように活かそうとしているか、(3)この時期の子どもは自分の親のこれまでの生き方とこれからの生き方をどのように内面化し、どのように親に関わろうとしているか、そして、これらの検討を通して、(4)人生周期における子育て経験の意義と子育ての終了という人生移行が親世代および子世代におよぼす意味を解明する。 研究の意義:子育てを終えた親は、エンプティネスト・シンドローム(空の巣症候群)と呼ばれる虚脱的喪失感にとらわれると言われているが、むしろ、親は子育て経験をもとにして、現在・将来の自分の生き方を再構築し、より開かれた世代性に新しい生きがいを産出することを実証的に解明するところに本研究の特色がある。このことは、生涯発達における親子関係を親にとっては「親である」経験として、子どもにとっては「子である」の経験として位置づけること、さらに、現代社会において、取りざたされている親子の在り方を心理学的見地から再検討することにつながると考える。 当該年度(初年度)における進展状況と知見:追跡母子を対象とした面接を実施した。母親については20名中12名については2回にわたる面接が終了しているものの、成人した子ども達との面接は予定より遅れぎみで現在のところ8名について2回にわたる面接が終了している。当初の予定としては、15組について完了する予定であったが、成人した子ども達については、多忙さのためになかなか予定が合わないことに苦慮している。現在、これまでの資料をもとにそれぞれのライフサイクルを子育て、子育ちの自伝的記憶に焦点を当てて分析を試みているが、そこでは親子相互の関わりの生活史的意義がそれぞれの立場からより肯定的なものとして意味づけられてきていることが実証されている。
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