1995 Fiscal Year Annual Research Report
芸術生産の社会経済的基礎に関する民族誌的研究-小劇場シーンの分析を中心として-
Project/Area Number |
06610157
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 郁哉 一橋大学, 商学部, 助教授 (00187171)
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Keywords | 小劇場演劇 / 社会的世界 / 芸術界 / 商業化 / サブカルチャー / 資本 / 文化生産 / 社会的分業 |
Research Abstract |
従来行なってきた参与観察を中心技法とするインテンシブなフィールドワークには一応区切りをつけ、もっばら対象を複数の劇団および関連団体に広げたイクステンシブな聞き取りおよび資料収集が中心的調査課題となった。海外調査(民間財団の助成による)をも並行して行なうことによって、複合的な比較研究を念頭に置いた調査も行なうとともに、プロだけでなく社会人が行なうアマチュア的な演劇活動についてもリサーチを行なった。その結果、以下のような事が明らかになった。 1.「芸術爆発」と芸術活動の制度化 1980年代から1990年代にかけての芸術に対する社会経済的支援の動きは、-応米国における1960年代以降のいわゆるarts explosionに類似した傾向をもっている。しかし、その規模や範囲はかなり限定されたものであり、今後予断を許さないものがある。 2.多様な「ブレイク」の意味 文化生産においてしばしば指摘されてきた一種の臨界点的な現象が演劇生産においてもみられる事が明らかになった。つまり、クリティカル・マスにたとえられる現象が生じるのである。この背景には、「作品」とよばれる生産物やサービスの評価の困難さがあげられる。さらに加えて、本格的な産業としての演劇の未熟性が成果のフィードバックの影響を阻害している事も考慮に入れなければならないだろう。 3.プロフェッションとしての芸術家 芸術に対する制度整備の動向につれて、芸術のプロフェッション化が重要な課題となっているが、欧米の研究が示唆するように、日本においても、いくつかの理由により芸術の場合には専門職化が困難である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 佐藤 郁哉: "サブカルチャーとビジネス" 茨城大学人文学部紀要. 29. 1-39 (1995)
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[Publications] 吉見俊哉他 名: "現代社会学 12巻" 岩波書店 未定, (1995)