1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610163
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 勇 福井大学, 教育学部, 助教授 (90176321)
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Keywords | 農村社会学 / 農民意識 / 社会意識 / 山形県 / 福井県 |
Research Abstract |
(1)実地調査においては、山形県庄内地方および福井県坂井平野部を対象地に選び、農業・農村の統計資料等の収集・分析、典型集落の実態調査、経営責任者面接調査を実施した。また、近年の農業情報への地域および個別経営での対応として、農業公社設立、集落営農の高度化、産直提携の取り組みなど最新の動向を把握した。 (2)農民意識の面では、営農意識面での転換の兆候として、一方における大規模化、法人化の志向と他方における兼業志向、農外依存志向とが一層分岐しつつある点、また、「家」意識の面においては、生産と生活の分離傾向が進行しつつあり、とりわけ若い後継者世代において「家庭」・「家業」に対する意味づけの変容が著しい点など、興味深い調査結果を得た。 (3)また、現代日本の農民意識研究の方法面での進展をはかる意味から、W・I・タマスに代表されるシカゴ社会学の質的データ調査法について、今日のシンボリック相互作用論の視点を参照しながら再検討を行い、実地調査において入手した質的データ(インタビュー記録)の分析への活用をはかった。 (4)平成7年度においては、これら6年度の成果をふまえて、引き続き対象地域におけるインテンシヴな面接意識調を実施するとともに、両年度の調査データをデータベース化した上で、質的な意識分析の手法を用いて、「農業危機」の中での農民意識変容の構造と論理の解明をはかる。
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