1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610164
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
村山 研一 信州大学, 人文学部, 教授 (80115378)
|
Keywords | 地域産業 / 地場産業 / 地域社会 / 産業再構築 / 地域開発 |
Research Abstract |
本年度においては、昨年度の研究成果を引き継ぎながら、バブル経済崩壊後の地方社会の産業動態を統計資料と事例調査の両側面より分析した。 第一に、長野県内の諸地域の工業趨勢についてのデータの収集及び分析を実施した。特に1985年から1990年までの期間と、1990年から1994年に至るまでの期間について、機械金属工業の動向を中心にデータの分析を行なった。バブル崩壊後の機械金属工業の停滞状況は一般的な現象として見られるが、産地間の格差が広がりつつあること、戦後から高度成長期にかけて形成されてきた精密工業、電機工業の産地構造自体が大きな転機を迎えつつあることが確認できた。なお、分析に使用した基礎資料は『長野県地域別工業時系列統計(1970〜1994)』としてまとめた。 第二に、諏訪地域、上伊那地域、下伊那地域、坂城町、丸子町等において、地場企業を対象とした聞き取り調査を実施した。聞き取り調査の結果から、産地の仕事量自体が減少しているわけではないが、利益が出ない企業と収益を確保できる企業との格差が広がっていることが判明した。現在収益を上げている企業は1985年以降(プラザ合意による円高以降の時期)継続して設備と技術に投資し続けてきたという共通性をもっている。設備・技術の格差、人材面での格差、このような要因が産地の企業間の格差と産地間の格差をより鮮明にし、地方の機械金属工業の産地構造を大きく変えていくであろうと考えられる。 この他に、長野県内の木曽地域、豊科町、群馬県の甘楽地域を対象として、農山村の地域資源(農産物および地域景観)を軸にした地域開発について実態調査を実施した。
|
-
[Publications] 村山研一: "ソフト化時代と地方産業" 市政. 44巻12号. 26-32 (1995)
-
[Publications] 村山研一: "長野県地域別工業時系列統計(1970〜1994)" 信州大学人文学部社会学研究室, 90 (1996)