1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610172
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
丸山 定巳 熊本大学, 文学部, 教授 (00039968)
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Keywords | 水俣病 / 公害 / 企業都市 / 地域権力構造 |
Research Abstract |
1.水俣調査 (1)現在、チッソは経営的には自力で存続できない状態にあるが、水俣病関係の補償の責任者であるが故に多額の公的資金が導入され支えられている。しかも先端技術を駆使したファインケミカル部門などのように公害型企業からの業種の転換が進み、従業員規模は縮小してきている。したがって、地域社会においては極めて低姿勢で、地域社会への顕在的影響力の行使は見られなくなった。しかし、潜在的影響力としては依然として大きいものがある。唯一の大企業として労働市場においても変わらぬ優位な地位を保持しており、また工場用地や工業用水をはじめ資源におけるウエイトも低下していない。 そうした状況のもとで、自治体は、水俣病事件を教訓とした都市づくりにおいて、自然との共生・人と人との共生(もやいなおし)を基本方針として位置づけるところまで変化してきている。その一環として取り組んでいるゴミの徹底した分別収集は、住民参加によって大きな成果をあげている。そのほか、地域再生に向けた住民参加組織が生まれ従来見られなかった地域活動の展開がみられるが、未だ行政主導型の住民参加にとどまっている限界が見られる。 2.大牟田調査 三池炭鉱の閉山が秒読みになって、大牟田では、炭住や貯炭場の跡地を活用した大型プロジェクトをはじめ地域再生に向けた模索がなされているが、未だ将来に向かっての新しいアイデンティイはつくり出されていない。
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