1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610174
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高橋 和宏 東京都立大学, 人文学部, 教授 (40117718)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 康雄 山梨県立女子短期大学, 生活科学科, 助教授 (40223896)
|
Keywords | 知識構造 / ネットワーク / カタストロフィ / 概念素子 / 改編過程 / 隘路 / 超脱 |
Research Abstract |
一種のネットワークとして見做される、個々人の社会的知識の構造が、長期的には特定の文化・社会での体験の集積、社会化よって構成されながらも、短期的には会議での議論という社会的コミュニケーションを通じて、改編されるとき、その過程でどのような大きな変化をしうるのだろうか。つまり知識ネット構造のゲシュタルトチェインジ、カタストロフィを対象とした、理論的かつ実証的考究が目的であった。 1.理論面での展開について。 (1)基礎概念ないしは知識ネット構造の構成単位を概念素子と呼ぶとき、そのネット位置価を、ネット点集約である、いわゆる中心度として扱うだけではいけないことに、具体的代替的予備案(多重混成方式)の裏付けをもって想到した。 (2)ネット関係は一通りではなく、それには、一定の状況の下に主体が客体と機能的に結ばれる簡潔な単文(命題・言説)間を構造的に連結するために、大別して帰属(形容詞機能的)関係と条件(副詞機能的)関係とがあることに想到した。 (3)概念素子は単文の凝縮されたものであり、具体的社会経験に隣接させながら検討するときにはむしろ単文のほうがよいだろう。 2.実行について。予備訓練を経て、調査実験(仮称)を94年11月下田市の旅館で施行(26名・5泊6日)。 (1)次第。監理者2名を除き、(指導員自身を含む)被験者全員による総練習。資料提示メンバー4名による提示、全員議論、レポート提出(800字以内)と対応ネット図作成、という過程の3回繰り返し。 (2)擬似実験状況。日常生活空間から遠く離れ貸し切った旅館での共同生活のなかで、思考資料は本番での提示メンバーや議論を中心とし、他の文献へのアクセスを遮断する工夫をした。 3.結果は、改編過程を記述する立体行列プログラムを考案、整理中。関与と認識の二重ネットにおける、資料としての経験から発動される検閲のなかで、隘路での周辺層素子と中枢層素子との野合よる超脱が抽出できるか。
|