1995 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア企業の地方展開が他方都市ホワイトカラー労働市場に及ぼす影響
Project/Area Number |
06610178
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Research Institution | BUNKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩本 純 文教大学, 情報学部, 助教授 (00184903)
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Keywords | ソフトウェア産業 / 情報技術 / 労働市場 / 情報処理技術者 |
Research Abstract |
ハードウェアの時代であった7-80年代に対し、90年代はソフトウェア主導の時代といわれると同時に、皮肉にもソフトウェア企業は苦難の道を余儀なくされた。大型汎用機を軸にした集中処理から、ダウンサイジング、オープン・システム化、エンドユーザー・コンピューティングが進み、分散ネットワーク処理へと急速に進行した「情報技術の世代交代」に対応しえた企業は多くはない。また、ユーザー企業のソフトウェア開発投資の見直し、それに随伴した汎用機向けソフトウェア開発需要の減速化、ソフトウェア開発の自動化は、拡大しえない市場での競争を更に激化させてきた。 重層型多重企業間関係を基底にした労働集約的生産を主流とするソフトウェア各企業に対して、技術、内外経営環境は、予想をはるかに越える影響を及ぼしている。今日の情報化投資全体の厳しい評価と選別・淘汰の時代を迎える以前と以後を明らかにすべく、いわば本格的確立期に入ったソフトウェア産業およびその従業者(情報処理技術者)のパネル調査を本年度末(1996年3月)に実施した(既調査:1991年7-9月)。 ハードメーカーを頂点とする重層的多重構造の企業間関係にあったソフトウェア企業は、明確に二局分解の道を余儀なくされようとしている。また、全般的な労働市場の悪化を背景として、不足する高度な専門的技術者と代替可能な余剰労働力(プログラマ-)との需給のミスマッチは、首都圏および地方の地域間の区別なく、深刻な状況を呈している。第三次産業におけるこのようなポスト・フォーディズムへの転換によって、深刻な打撃を被ったプログラマ-を、切り捨てるのではなく、産業レベルの救済策を講じていかねばならない。
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