1995 Fiscal Year Annual Research Report
マスメディアが地球環境問題の認識に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
06610183
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
竹内 郁郎 東洋大学, 社会学部, 教授 (10013038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 俊郎 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (20163397)
高橋 直之 東洋大学, 社会学部, 教授 (30054480)
三上 俊治 東洋大学, 社会学部, 教授 (00114661)
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Keywords | 地球環境 / 環境問題 / 内容分析 / メディアの議題設定効果 / 環境報道 |
Research Abstract |
前年度の11月に実施した板橋区民調査と、前年度から今年度にかけて行なわれた新聞の内容分析をもとにした分析知見は以下のとおりである。 1.地球環境問題への関心の高さを地球温暖化・酸性雨の両問題で比べると、地球温暖化を重要視する人のほうが多い。また、両問題に関する新聞の報道量を比べると、地球温暖化のほうが酸性雨よりかなり多いことがわかった。これについては、メディアの議題設定の効果が現れていることが推測される。 2.板橋区民調査の結果、人びとの意識の中では、環境問題の原因は「利潤追求を優先する企業の姿勢」、「ぜいたくで消費的な生活様式」、「先進国の人びとのモラルや意識の低さ」といった問題と結びつけてとらえられている。しかし、新聞報道の内容分析の結果を見ると、原因として物理的なメカニズムに関する言及が多く見られ、責任の主体についての言及はあまり多くない。また、報道フレームについても、「消費中心主義の生活」や「企業の営利主義」といったものはあまり用いられていない。このように人びとが環境問題を知覚するフレームとメディアの環境報道におけるフレームにはズレがあることが明らかになった。 なお、今年度の11月に東京都民を対象に実施した意識調査では、環境問題に対する人びとの意識の多次元的構造とメディア接触との関連について、より深く追究を試みているが、現時点では分析の途上である。
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