1994 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀後期東北日本における質物奉公人の存在形態に関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
06610194
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高木 正朗 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70118371)
|
Keywords | 宗門改帳 / 質物奉公人 / 奉公人データベース / 身代金 / 奉公先 / 世帯内地位 |
Research Abstract |
本研究の目的は、18世紀仙台領磐井郡の村方宗門帳及び町方史料から質物奉公人データベースを構築し、奉公人の性別・年齢別構成、世帯内地位、身代金額、奉公期間、奉公先(空間的移動)などを解明することである。このうち町方史料については、記載の信憑性を今少し慎重に検討する必要があるので、本報告からは除外する。 1753〜60年までの西磐井郡峠村質物奉公人の延べ数は810人で、男子532人、女子278人であった。奉公年齢は男子で10〜79歳未満の範囲に分布し、最頻値は30〜34歳層(103人)に、女子では5〜74歳未満の範囲に分布し、最頻値は25〜29歳層(60人)にあった。奉公人の世帯内地位は、男子では世帯主の総領179人、同弟52人、同次男以下の男子41人が多く、女子では世帯主妻92人、同嫁52人が多かった。身代金は1〜20切の間に広く分散していた。 身代金と年齢の関連を男子に限り単(1753)年でみると、相関係数は全体(63人)で0.41であるが、30歳未満層(38人)に限定すると0.74と高くなった。男子30歳以下層(40人)の回帰方程式はY=-0.089*0.632/xであるが、40歳以下層(54人)ではY=+5.395*0.338/xとなり、身代金の上昇は若干層で顕著であるが、中高年層ではプラトー化した。一方、女子の場合年齢と身代金の相関は、単年の度データ数が僅少でもあり、観察されなかった。 男女とも奉公期間は原則として2年であり、以後契約を更新するのが通例であった。男子の奉公先を郡別にみると、同郡内225人(42.3%。うち自村内111人[21%])、栗原郡203人(38.2%)、登米郡66人(12.4%)、遠田郡14人(2.6%)牡鹿郡11人(2.1)東磐井郡10人(1.9%)で、遠距離の仙台城下2人(0.4%)、志田郡1人(0.2%)等は例外だった。女子の奉公先は近距離にあり、同郡内134人(48.2%。うち自村内39人[14.0%])、栗原郡75人(27.02%)、東磐井郡41人(14.7%)、登米郡28人(10.1%)であった。
|
Research Products
(1 results)