1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610199
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Research Institution | MOMOYAMA GAKUIN DAIGAKU |
Principal Investigator |
清水 由文 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (40132352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光吉 利之 奈良大学, 社会学部, 教授 (80031706)
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Keywords | 地域社会変動 / 製紙農家 / 就業構造 / 家族構造 / 村落構造 / 高度成長経済 / カブ / 高齢化 |
Research Abstract |
従来の農村の地域社会変動を捉える方法は、一方に伝統モデルを設定し、それからの変動過程を追究することであったが、本研究は、特定農村の実態調査をとおして、農村の地域社会変動を捉えるところに、その特色が認められるのである。 (1)昭和47年に調査を実施した京都府綾部市黒谷地区を再調査対象地域に選定した。昭和47年当時は戸数が57戸であったが、現在52戸で、若干減少が認められるが、それはほぼ同じであるとみなしてよい。また製紙農家が70%であったが、現在では28戸の56%に減少化しながら維持されている。そして、家族構造に関して、47年には、一般農村と相違して核家族が優位をしめ、54.3%であり、直系家族が38.6%であった。しかし、現在、核家族が54%、直系家族が40%、単身世帯が6%であり、全体としては変化していないように見受けられる。 (2)しかし、核家族の内部をみれば、核家族形態は26%であり、夫婦家族が28%を占め、それは子供の他出が顕著であったことを示し、それらは全て老齢者夫婦を意味しており、そこに高齢化が顕著に進行していることが認められるのである。 (3)就業構造と家族を関連づけてみると、現在直系家族と夫婦家族では製紙業従事者が多く(12戸と10戸)、それは、製紙業従事者は老齢者が多いことを反映するものと見てよい。また、核家族は殆どが恒常雇用従事者で占められている。しかし、直系家族においても若い夫婦は恒常雇用勤務形態を示している。 (4)このように就業構造に変化はみられるものの、カブは現在でも大カブにおいて機能性を顕現させており、変化が少なかったものと判断される。 (5)村落構造は、家意識の変化に対応して少し変化が見られるが、自治会が月1回開催されており、村落の自治機能は強く維持されているものと見なされてよい。 以上のように黒谷地区の就業構造は高度成長経済以降かなり変化を経験しているが、村落構造は若干変化が見られるものの依然強く維持されているもの判断されてよい。
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