1994 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の家族介護に影響する諸要因とサービスの最適提供に関する研究
Project/Area Number |
06610208
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
冷水 豊 (財)東京都老人総合研究所, 社会学・社会医学研究系・社会福祉部門, 研究部長 (00073015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和気 純子 (財)東京都老人総合研究所, 研究助手 (80239300)
中谷 陽明 (財)東京都老人総合研究所, 研究員 (00198128)
中野 いく子 (財)東京都老人総合研究所, 主任研究員 (40141808)
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Keywords | 家族介護 / 在宅ケア / 介護の質 / 高齢者ケア / 老人福祉 / 評価スケール |
Research Abstract |
【研究目的】当初の研究計画で概念化していた「家族介護力」に代えて「家族介護の質」の評価とそれに関連する緒要因の分析を目的とした。 【研究方法】次の2つの調査を実施した。(1)在宅ケアの質の現況に関する専門評価調査:評価者は、東京都区部で在宅サービスを実施しているAセンターの保健婦、訪問看護婦等の専門職で、評価の対象は、同センターの訪問看護サービス等を利用している高齢者149人である。評価用具「家族介護評価スケール」は、環境面5項目、身体介護面7項目、心理社会的介護面(痴呆介護含む)4項目の合計16項目から構成され、各項目とも「非常によく行われている」〜「全く行われていない」までの6段階評価である。(2)在宅ケアの質に影響する諸要因に関する訪問面接調査:調査項目は、(1)高齢者の心身障害の程度、(2)主介護者の健康、就労、介護をめぐる家族関係の強度等、(3)主介護者の介護知識、介護負担感、バーンナウト、対処スタイル等、(4)在宅サービスの利用状況、(5)世帯の経済状態、住宅条件等である。回答者は、上記の高齢者を主に介護している家族員149人である。 【研究結果】(1)「スケール」の項目分析の結果、最終的に11項目(環境面2項目、身体介護面6項目、心理社会的介護面3項目)を用いた。11項目全体の内的整合性を示すα係数は、.952ときわめて高く信頼性は十分であった。異なる評定者間の評定の信頼性は、保健婦および訪問看護婦の2職種間のスケール総合点の相関係数でみて.737でまずまずの水準であった。構成概念の妥当性については、11項目の主成分分析を行った結果、あらかじめ設定した上記の3側面の通り次元構成されることが確認された。(2)家族介護の質が不十分な項目は、(1)便所における配慮・改造、(2)浴室における配慮・改造、(3)家の中での移動のための配慮・改造、(4)自立促進をはかるための努力、(5)障害高齢者の社会的交流・活動のニーズ充足、(6)痴呆性高齢者の問題行動への適切な対処、であった。(3)家族介護の質の現況と有意な相関のある変数は、主介護者のバーンナウト、対処スタイル、介護をめぐる家族関係の強度、主介護者の介護知識であった。以上の結果を踏まえて、サービスの最適提供の在り方に関して今後検討する。
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[Publications] 冷水豊,古谷野亘,奥山正司: "高齢者のサポートシステムとしての家族-その保健.福祉機能(「平成6年度厚生省長寿科学総合研究費研究発表会抄録集」所収)" 長寿科学総合研究費中央事務局, 426 (1995)