1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の家族介護に影響する諸要因とサービスの最適提供に関する研究
Project/Area Number |
06610208
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
冷水 豊 上智大学, 文学部・社会福祉学科, 教授 (00073015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 いく子 (財)東京都老人総合研究所, 社会福祉部門, 研究室長 (40141808)
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Keywords | 家族介護 / 介護サービス / 高齢者介護 / 在宅サービス / 介護の質 / 介護負担 |
Research Abstract |
1.研究目的 平成7年度の課題は、家族介護の3要素(1.介護の源泉としての家族介護力、2.介護の主観的な結果としての介護者の負担感・不安感)、3.介護の客観的結果としての介護者の健康度、生活時間、所得・支出)およびサービス提供状況を考慮に入れた上で、家族介護と公的サービスの社会的に妥当ないくつかの組み合わせパターンを主として事例分析等を通して検討することである。 2.研究方法 このための事例調査を、東京都S区の24時間巡回型ホームヘルプサービス利用の20世帯を対象に行った。この事例調査を通してのより具体的な分析の課題は、全国的に新しく導入され始めている巡回型ホームヘルプサービスが、高齢者の家族介護にどのような影響を及ぼし、その結果他の在宅サービスも含めた公的サービスのパッケージと家族介護との組み合わせがどの程度社会的に妥当なパターンを形成しているかを検討することである。サービスの影響を把握するために、サービスの開始前の平成7年7月と約3ヶ月後の10月の2回にわたって訪問面接法による調査を行った。回答者は主介護者である。 3.研究結果 (1)巡回型ホームヘルプサービスに特定できる影響は、(1)介護時間の減少、(2)主介護者、高齢者双方の安心感の増大、(3)高齢者の情緒的安定といった側面に認められた。 (2)他方で、(1)主介護者の身体的・精神的・社会的負担感の軽減、(2)主介護者の生活時間の活性化、(3)家族介護の質という面では、巡回型だけではむしろ適切な在宅サービス・パッケージ全体による影響が認められた。 (3)最終的な研究目的としている、家族介護と公的サービスの社会的に妥当ないくつかの組み合わせパターンの析出に関しては、欧米に比べて子ども世代の家族による同居介護がまだ一般的な日本の現状でのサービスの介入の困難さが改めて浮き彫りになり、この報告の時点ではまだ結論的な結果を得ていない。今後、専門家会議での議論等と通して分析を進める予定である。
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