1994 Fiscal Year Annual Research Report
生涯学習の推進における地方自治体の行政責任に関する調査研究
Project/Area Number |
06610215
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 一麿 東北大学, 教育学部, 教授 (70004108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梁 忠銘 東北大学, 教育学部, 助手 (50261566)
大桃 敏行 東北大学, 教育学部, 助教授 (10201386)
宮腰 英一 東北大学, 教育学部, 助教授 (50166138)
水原 克敏 東北大学, 教育学部, 教授 (00124628)
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Keywords | 生涯学習行政 / 地方公社 / 公益性 / 営利性 / 民間事業 / 行政の守備範囲 / 地方自治体 / 生涯学習センター |
Research Abstract |
1.平成6年度は、以下の項目について研究を遂行した。 (1)教育行政及び生涯学習行政に関わる基礎理論の検討及び整理。 (1)1980年代の行政構造の転換、(2)「公益」概念の検討、(3)生涯学習行政の守備範囲に関する考察、(4)生涯学習施策の実施に係る民間公益事業の検討 (2)文部省生涯学習振興課課員との生涯学習に関する情報交換 (1)生涯学習社会の形成に関わる課題、(2)生涯学習行政の現状について、(3)教育の行政関与の歴史的展開と生涯学習行政の分析視点について (3)実態調査のための資料収集と地方自治体の訪問調査の実施。 (1)文部省地方課、同生涯学習振興課、主な県教委に依頼して生涯学習関連資料の収集。(2)秋田県生涯学習センターを訪問し、県、市町村・地方公社・民間の事業連携・協働についての調査、(3)三重県生涯学習課及び生涯学習センターを訪問し、同県の生涯学習の実態についての調査、(4)福岡県教委生涯学習振興課を訪問し、同県の生涯学習推進体制について調査、(5)鹿児島県教委社会教育課を訪問し、同県の県民カレッジによる生涯学習事業の展開についての調査、(6)その他、国教研等での関連資料の収集。 2.以上の研究から、次の3点が判明した。 (1)民間の生涯学習事業において、営利性と考益性が如何に調和あるいは相反するか並びにそれに伴い、民間事業への公費補助が如何に正当化されるかの問題があること。 (2)民間教育事業を包括して、生涯学習事業を遂行しようとしている自治体で、特に顕著な成果をあげている自治体の事例は少なく、行政と民間の事業連携・強力が難しい課題を抱えていることがわかった。従って今後、第3セクター方式の地方公社の事業に着目し、生涯学習事業がこの方法で進められている自治体を中心に継続して訪問調査し、その内容と課題を明らかにする必要があること。 (3)生涯学習を振興する部課の事務内容をどのようにして規定するかによって、機構と事業展開に各自治体の特徴と差異がでること。生涯学習担当の部課は、(1)企画・調整事務と事業実施事務を担う「自治体主導型」、(2)企画・調整事務のみを担い、事業実施事務を地方公社が行う「地方公社型」、に分類されるが、当初想定していた「民間事業型」は存在せず、別の類型を考える必要があること。
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