1994 Fiscal Year Annual Research Report
自己教育実践の時間的再編成の実証的研究-文化的慣習行動と自由時間の日・英・仏の比
Project/Area Number |
06610232
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 孝實 京都大学, 教育学部, 教授 (90031707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前平 泰志 京都大学, 教育学部, 助教授 (70157155)
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Keywords | 自己教育 / 成人教育 / 学習時間 / 余暇行動 |
Research Abstract |
日常の文化的慣習行動を、さまざまな時間(社会的、文化的、生物的時間)の配分の観点から、再定義する作業を、仏・英両国の調査の分析を通して行った。まず、1985-86年のフランスにおける15歳以上の青年・成人16047人を対象とした「時間活用に関するアンケート」調査の結果報告書の再分析を行った。日常活動の時間使用を規定する上で、性、家族状況、年齢、職業が大きな要因となっているが、自由時間との関係では、どの社会-職業的カテゴリーにおいても、男性の方が女性よりも常に自由時間が多いことが明らかにされている。また、家庭内の性別役割分担も、過去十数年来、きわ立った変化が見られないことが示されてる。余暇時間に行われる行為内容の男女差は、そのことをよく物語っている。また、英国の成人教育コースの開催時間や余暇行動の分析を行い、そこからは、生涯学習や文化活動において夜間の意味が大きいことが明らかになった。ただし、女性にあっては、昼間のとりくみもふえている。そこには、女性の学習活動参加が多くなり、とくに中流階級・下層中流階級にその傾向の強いことがうかがわれる。 なお文化社会学、教育社会学、余暇社会学において発展の見られる社会学的時間の実証的、理論的研究の文献検討を行い、平成7年度の調査に向けての示唆を得た。それぞれの国は独自の自己教育観を持っていて、ある慣習行動を教育時間として認知するかどうかは、その国の文化的伝統に依存していることに留意する必要のあることが示された。
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