1995 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の「人とかかわる力」の形成とその親の「人間関係」とのかかわりに関する研究
Project/Area Number |
06610235
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
白川 蓉子 神戸大学, 発達科学部, 教授 (80108852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴木 佳緒留 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (60106010)
五味 克久 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (50144556)
清水 民子 神戸大学, 発達科学部, 教授 (40046470)
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Keywords | 幼児の「人とかかわる力」 / 親の「人間関係」 / 少子化 / 母親の社会的ネットワーク / 日本型「人間関係」観 |
Research Abstract |
幼稚園や保育所で、幼児の「人とかかわる力」の形成に問題が生じていることが明らかになった。そこで、幼稚園,保育所に子どもを通園させている母親の社会文化状況(人間関係)に焦点をあてた調査を行った。 1.幼児を子育て中の母親の社会文化状況を把握した。幼稚園の母親は80%が専業主婦であり、保育所の母親は49%がフルタイムで働いている。日本型のM字型就労曲線を裏付け、「3歳までは母親の膝の上」という母親の育児観と一致していた。幼児を子育て中の母親の大多数(85.8%)が核家族であった。また、子ども数の減少により、「近所に子どもの遊び友だちがいない」「子どもをとおしての親どうしのつきあいの広がりがない」との悩みを抱いていた。母親たちは近隣(片道2時間以内)の父母,義父母その他の親族と交流し、あるいは、近所の友人と交流し、また、自らカルチャーセンターや合唱、ダンス等の文化活動を行って社会的ネットワークをそれぞれに模索している。幼児教室で子どもの友だちをつくり、母親自身も社会交流を深めている例もみられた。 2.近隣に子どもが少ない分、母親たちは幼稚園,保育所に幼児の「人間関係」形成面で期待を寄せている。その母親たちが幼児の「人間関係」の内容で何を重視しているかを調査した。すると母親たちが幼児に期待する「人間関係」は、自分たちがその中で育ってきた日本型「人間関係」であった。すなわち、個性、自立、自己表現、ルールの重視、よりも、「協調」「共感」「気持ちの通じあい」を重視していた。日本型「人間関係」は日本の文化に根ざしており優れた面もあるが、個を尊重し、原則に基づいた人間関係は育ちにくい。 3.母親の「人間関係」観は、幼稚園教師が抱く「人間関係」観とも一致しているようである。今後、親-教師の「人間関係」観の国際比較へと研究を発展させたい。
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[Publications] 奥山登美子・白川蓉子他2名: "幼児の遊びにおける「意欲」と「獲得した内容」の質的検討-幼児の4タイプをめぐって-" 神戸大学発達科学部研究紀要. 第1巻第2号. 37-49 (1994)
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[Publications] 白川蓉子・五味克久編著: "21世紀に輝け子どもたち-神戸から子育てしている皆さんへ-" 明治図書, 156 (1995)
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[Publications] 白川蓉子: "家庭教育のこれまでとこれから(新・教育原理 柴田義松編著)" 有斐閣, 25 (1996)