1995 Fiscal Year Annual Research Report
巨大鉄鋼業におけるリストラクチャリングの展開と教育訓練の再編に関する実証的研究
Project/Area Number |
06610248
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
永田 萬享 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (70155935)
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Keywords | 鉄鋼業の技術者養成 / 鉄鋼短期大学 / 産業技術短期大学 / メンテナンス労働 / 就職決定メカニズム / 工業高校の専門性 / 養成工教育 / 連携制度 |
Research Abstract |
鉄鋼業の技術者養成機関として設立された鉄鋼短期大学は鉄鋼不況、減量経営のなかで、1988年には産業技術短期大学という名称変更を伴う大転換が行われた。鉄鋼メーカーの産技短大への派遣目的は各社各様バラエティに富み一定ではなく、したがって対象者も多様であった。これらのことは、従来ブルーカラーからホワイトカラーへの職種転換をはかるためにエリート養成機関として果していたこれまでの役割・機能からの転換が図られていることを意味している。 一方、鉄鋼業ではME化の進展のもとで工程間の直結化、操業の自動化が進展するにつれて、メンテナンスの比重が増大し、メンテナンス労働の高度化をもたらした。こうしたメンテナンス労働を担うために、ブルーカラーの採用ベースを工業高校とりわけ電気科、機械化卒業者にターゲットを絞り、有力な人材供給源とみなしている。工業高校における就職決定メカニズムは3年間の学業成績、出席状況、クラブ活動の参加状況等を考慮しながら総合評価によって推薦会議で決定されるが、最終的には学業成績が決め手になる。しかし、工業高校における学業成績は専門性に裏付けられた専門性なのである。 住金では、現在も継続している中卒者を対象とした3年間の養成工教育が行われている。 今日のリストラクチャリング下のもとで貴重な戦力になっている。そこでは普通科目や専門科目さらには基本実習、現場に出て様々な技術、技能を修得する応用実習を学のである。普通科目は連携している陵雲高校の教師によって、専門科目は現場の教育スタッフによって行われる。クラブ活動の必須化、全寮制、耐寒訓練、耐熱行軍などを重視して、「連帯感や団結力」「心身の鍛練」がことのほか協調されている。住金における学園生教育はOJTには解消することのできない養成工教育として定着、発展している。
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Research Products
(1 results)