1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610263
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Research Institution | KURASHIKI CITY COLLEGE |
Principal Investigator |
平山 諭 倉敷市立短期大学, 保育学科, 助教授 (50173266)
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Keywords | LD児 / 学習障害児 / 環境対話法 |
Research Abstract |
科研費対象期間内(2年間)に「環境対話法」の仮説からプログラム化された2回のLD児キャンプを実施し、チェックリスト、各種心理検査、保護者へのインタビューなどから得られた知見を要約する。 1効率的な環境情報入力一身の回りの環境情報に気づきやすく、また取り込みやすくするために、情報の精選、分類・整理・少量化、魅力化することに学習効果があった。 2パターン化された適応行動の獲得-状況にあった適応行動を獲得させるために、具体的場面での具体的指示を強調するプログラムとしたが、学習効果が認められた。同時に獲得させる内容を少なめにし、繰り返し指示をを与える方法に効果があることが明らかとなった。 3環境の選択-管理された環境、強要された環境、楽しくない環境、刺激の多い環境では、ストレスや不適応の問題が出現しやすので、そうした環境を可能なかぎり排除するとともに、対象児の特性(特に性格)を考慮し、相性の合った援助者を選択した。学習効果は大きいと判断された。 4小集団への統合-個別援助を除けば、すべてのキャンププログラムは健常児を含めた総合形式としたが、初期場面では喧嘩や物の取り合いなどのトラブルが発生するものの、最終場面ではそうした傾向が消失しており、社会適応の学習が効果的になされたと判断された。 5やすらげる場と人の保障-LD児は他者との共存空間に多大なエネルギーを消費する(緊張度が高まる)ので、対象児によっては個別的な場を確保し、さらに母親か援助者との一対一の空間を保障した。こうしたやすらぎ空間の保障は各プログラムの学習に対する取り組み方を積極的にした。特に対象児にとって好きな援助者ができた場合、指示への従い方が有意に高まった。 6トーヌスのリラクセーション-集団場面でトーヌスの緊張度が高まりやすい対象児には、簡単な役割を与えたり、みんなの前に出させるなどの機会を多く与えた。援助者が一緒にいてリ-ドする場面もあったが、多くの対象児は集団に慣れ、トーヌスをリラックスしていった。 7課題への誘い込み-各種の課題を拒否する対象児に対しては、課題を少量にする、課題レベルを少なくする、援助者が指示の声のトーンを変える、ほめる・励ますためのことばがけを頻繁に使う、といった技法を用いた。特に援助者の表情・声質は、学習促進に大きな影響力があることが明確になった。 結果的に、学校教育の場面では援助者たる教師の成熟や子どもとの相性も効果的な学習の要因になることが推論された。なお、平成8年度からは思春期にいるLD児の「環境対話法」の開発に携わる企画をもっている。
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