1994 Fiscal Year Annual Research Report
未熟児の精神発達・母子関係の発達についての超早期からの援助・教育に関する追跡研究
Project/Area Number |
06610278
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
幸 順子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 能力開発部, 研究員 (20250251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本城 秀次 名古屋大学, 教育学部, 助教授 (90181544)
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Keywords | 未熟児 / 精神発達 / 母子関係の発達 / 超早期援助・教育 / 追跡研究 |
Research Abstract |
未熟児の精神発達・母子関係の発達についての超早期からの援助・教育に関する追跡研究について、当初の研究計画に従い、以下の点について研究実績が得られた。 1.未熟児の精神発達と母子関係の発達に関する研究:未熟児の精神発達や母子関係の発達を総合的に検討する第一段階として、今回は未熟児の発達の概要を精神発達質問紙(津守・稲毛式)を通して検討した。名古屋第二赤十字病院を1980年〜1992年までに受診した未熟児のうち、発達指数(DQ)が75未満のものを除いた170名(男子73名、女子97名)を対象として用い、未熟児の発達について検討を加えた。発達検査は生後6カ月時、12カ月時、18カ月時、24カ月時、36カ月時にほぼ実施されているが、今回は12カ月、18カ月、24カ月時のもののみを用いた。その結果、(1)12カ月、24カ月時の未熟児の発達指数について、出生体重による主効果が認められた。(2)発達検査の下位尺度について検討すると、いずれの時期においても「探索・操作」と「言語・理解」の領域に落ち込みがみられた。(3)出生体重、存胎週数、不当軽量、APGAR指数、出生時疾患と各領域の発達指数の相関を調べたところ、12カ月、24カ月時において、出生体重・視力障害と発達指数との間に有意な相関がみられた。これらについては第71回日本小児精神神経学会(1994名古屋)にて発表した。 2.未熟児の気質に関する研究:乳幼児の気質を総合的に検討する第一段階として、今回は統制群として正常出産乳幼児の気質と母親の育児不安との関連について質問紙調査法により検討した。質問紙は、子どもの気質については佐藤(1988)の日本語版RITQを使用し、母親の分離不安についてはHockら(1989)の先行研究を参考に13項目からなる尺度を、更に「母親役割観」について5項目からなる尺度を作成し実施した。重回帰分析(ステップワイズ法)の結果、母親の分離不安は、「母親役割観」および子どもの気質質問紙の下位尺度である「閾値」・「活動性」・「気の紛らわせやすさ」によって説明された。これら一連の研究については、日本教育心理学会第36回総会(1994京都)、第4回乳幼児医学・心理学研究会(1994東京)にて発表した。
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[Publications] 本城秀次 他: "未熟児の精神発達とその要因に関する研究" 厚生省「精神・神経疾患研究委託費」5公-5平成5年度研究報告書. 19-24 (1994)
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[Publications] 本城秀次他監訳 幸 順子他共訳: "自己の治癒" みすず書房, 296 (1995)