1995 Fiscal Year Annual Research Report
ドメスティケーションの人類学的研究:人間と家畜・栽培植物の相利的共生関係の解明
Project/Area Number |
06610283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
掛谷 誠 京都大学, アフリカ地域研究センター, 教授 (30020142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 恵介 アレン短期大学, 英語英文科, 助教授
重田 眞義 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助手 (80215962)
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (60191938)
田中 二郎 京都大学, アフリカ地域研究センター, 教授 (30027495)
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Keywords | ドメスティケーション / 家畜 / 栽培植物 / 相利的共生関係 / 牛群 / リュウキュウイトバショウ / 半栽培 / 人為的関与 |
Research Abstract |
本研究は、人間と動植物の相互関係のなかに、どのような形で相利的な性質をともなった諸関係が存在するのかを現地調査によって検証し、その実態を具体的に描き出すことを目的としてきた。計画の2年目にあたる今年度は、動植物と人間の相互関係に関する実証的な基礎資料を集積することに重点をおいた。 動物と人間の相互関係に関しては、隠岐西ノ島の放飼牛群と、東北地方北上山地で夏山冬里方式によって飼育されている牛群について、ホームレンジの規模と構造、母子関係、オス-メス関係、グル-ピングの構造などについて一次資料を集めた。北上山地における牛飼養と人為的関与の継続的な定量的調査を開始するいっぽう、映像記録装置を用いて牛群に対する村人の人為的関与の種類や程度とそれに対する牛群の反応を記録した。 植物と人間との相互関係に関しては、東北地方北上山地において、野生植物についての利用と認知、雑穀を中心とした畑作の歴史と現状、および半栽培有用植物の利用と人間の無意識的な関与について調査を実施した。 沖縄本島北部におけるリュウキュウイトバショウの半栽培的利用法と畑管理に関わる人為的関与の定量的評価に関する調査を実施した。 年度末には京都で研究会を開催し、フィールドワークの成果とアフリカでの研究成果をふまえて研究発表をおこない、あわせてドメスティケーション研究の枠組みについて検討をおこなった。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 掛谷誠: "アフリカ疎開林帯における焼畑農耕社会の持続と変容" 学術月報. Vol. 48(9). 25-30 (1995)
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[Publications] 太田至: "群れ管理における『自然』と『文化』の接点" 地球に生きる:自然と人間の共生. 193-223 (1995)
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[Publications] 重田眞義: "品種の創出と多様性の維持をめぐるヒト-植物関係" 地球に生きる. 4. 143-164 (1995)
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[Publications] 重田眞義: "アフリカの野菜と果物" 週間朝日百科『植物の世界』野菜と果物の博物誌. 84. 17-20 (1995)
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[Publications] 重田眞義: "エンセ-テの酒-エチオピア-" 酒造りの民族誌. 75-82 (1995)
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[Publications] 重田眞義: "大地の恵みを飲む-アフリカの穀物の酒-" 酒造りの民族誌. 83-90 (1995)
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[Publications] 重田眞義: "エンセ-テ-エチオピア西南部" 月刊みんぱく12月号. 20. 20-21 (1995)
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[Publications] 田中二郎: "序章-アフリカ地域研究の10年-" 続 自然社会の人類学. (印刷中). 231-238 (1996)
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[Publications] 太田至: "規則と折衡-トゥルカナにおける家畜の所有権をめぐって-" 続 自然社会の人類学. (印刷中). (1996)
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[Publications] 重田眞義: "熱帯アフリカ高地における栽培植物を環境利用-アチオピア高地を中心に-" Tropics. Vol. 5(3). 151-160 (1996)
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[Publications] 重田眞義: "The case of the Ari people and ensete (Ensete ventricosum) in Ethiopia." Creating landrace diversity. (1996)
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[Publications] 重田眞義: "熱帯高地とは-人間の生活領域としての視点から-" Tropics. Vol. 5(3). 1-16 (1996)