1994 Fiscal Year Annual Research Report
創造される沖縄の若者文化-本土化とパブリックカルチャーとしての地域文化-
Project/Area Number |
06610288
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
太田 好信 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助教授 (60203808)
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Keywords | 沖縄若者文化 / マスメディア / テクスト分析 / メディア消費論 / ヘゲモニ- / ポピュラーカルチャー / パブリック・カルチャー / カルチャル・スタディーズ(文化研究) |
Research Abstract |
本年度は、演劇集団である笑築過激団のマスメディアにおける活動、ならびに笑築過激団と関連が深い照屋林助の地方での音楽・演劇活動をインタビューと実地観察から明らかにした。 まず、笑築や照屋林助が活動している沖縄(コザ)市の歴史が、ここから発信される〈沖縄文化像〉に大きな関連をもっている。たとえば、笑築は嘉手納空軍基地の米兵とコザの人々との関係を話題にしたコントを演じている。また、照屋も第二次大戦後の〈アメリア世〉における抵抗の形態を、当時の人々の生活から読み取り、〈ワタブシヨ-〉の中で自ら演じている。今回は、照屋林助のパフォーマンス(1回)ならびに、「お笑いポ-ポ-」のコント5編を、テクストに書き起こして、分析を加えることができる状態にした。このうち、「沖縄英語講座」というコントについては、笑いの対象は方言(ウチナ-ヤマトグチ)を理解しない日本本土の言語主体を想定していることを明らかにした。(*) また、浦添商業高校の生徒60名にアンケートを配布し、生徒がどのように笑築のコントを理解しているかを調べた。その結果、生徒は方言を使用したコントを、本土(ヤマト)社会との差異を理解するモデルとして使っていることが明らかになった。 今後、マスメディアが最近になり急速に広がった離島地域(特に宮古八重山地方)における沖縄発信の〈文化像〉のもつ社会的意義を解明する必要がある。 (*)「Appropriating Media,Resisting Power」として刊行予定論文の一部である。
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