1994 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における日系企業のコ-ポレイト・シチズンシップに関する研究
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06610292
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Research Institution | Junior College of Toyota |
Principal Investigator |
成田 弘成 豊田短期大学, 人間関係学科・その他部局等, 助教授 (40189212)
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Keywords | コ-ポレイト・シチズンシップ / 地域貢献 / 開発人類学 / 異文化ビジネス / 異文化経済摩擦 |
Research Abstract |
本研究は、「コ-ポレイト・シチズンシップ・フォア・ディベロップメント(開発に向けた企業市民活動)」という独自の視点から、東南アジア及び太平洋地域の比較的開発の遅れた地域を対象に、その企業活動の現状を調査した。調査方法は、文献研究とアンケート調査を用いた。特に文献研究では、企業市民活動に関する理念の確立の度合、および日本を中心とした経済ネットワークの発達ぶりに注目し、後進国と呼ばれる地域であっても、開発の導入と共に、急速にコ-ポレイト・シチズンシップの意識が展開しつつあることが分かった。またタイ・フィリピン・マレーシア・インドネシア・シンガポール・パプアニューギニアなどで活動する約400社の日系企業にアンケート調査を行い、企業の市民活動の状況を調べた。このアンケート調査は、プライマリ-なもので、引続き来年度も継続して、現状分析を続ける予定である。しかし、如何に日系企業がアジア地域において経済的な成功を収めているようにみえても、そのじつ多くの企業は異文化摩擦の中で沢山の難問を抱えていると云える。来年度では、こうした問題への対処の仕方として、地域貢献に携わることが企業の発展にとってもプラスであるかを考え、近い将来の企業のあり方について提言を出せるようにしたい。 開発人類学の理論的視野に、異文化ビジネスの問題を積極的に取り組むことは、開発における地域住民対企業という対立関係を、むしろ共存・協力する関係へと転化させることになるであろう。実際現地の企業にはそうした方向を求める傾向が見えつつある。
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