1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610354
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
林 邦夫 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50128451)
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Research Abstract |
アンダルシーアの大土地所有の形成に関して13世紀の再征服後のレパルティミエントを重視する伝統的見解を批判する最近の動向を受けて、大土地所有を(1)個人所有と(2)団体所有に分けて検討を加え以下の結論を得た。 (1)大土地所有は一度土地取得では完成しておらず、レパルティミエントで得られた土地が中世末まで変化せずに存続したのではない。(1)では購入、横領によって、(2)では恵与・寄進によって土地取得がなされ、複雑な過程を経ている。 (2)しかしこの過程の結果はじめて大土地所有が形成されたのではなく、過程の最初か、かなり早い段階で大土地所有の規模に達している。したがってその後は大土地所有の増殖・肥大化の過程である。 (3)13世紀の起源を有する大土地所有がかなり見られる。14-15世紀を重視する最近の動向は世俗所領の生成・発展に注目しているが、これは土地所有を含まない裁判領主所領が多かったので再検討の必要がある。 以上の結果を踏まえて、土地所有の所有者の社会的地位との関係について考えると、土地所有が所有者の社会的地位の上昇に繋がり、今後はその上昇した地位が領主権を背景にした横領、国王からの恵与といった土地獲得手段の増大をもたらしたというように、相互に因果関係を結んでいた。またこのような個人所得地は寄進や相続によって、教会や修道院の所有地に転化し、これによって団体所有地の増大をもたらした。団体の所有地は直接経営されることは少なく、小作に出されていたが、その大規模借地人として都市寡頭支配層が現れる。このように個人所得と団体所得は互いに無関係に存立したのではなく、相互に依存しあって存在していたのである。
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