1995 Fiscal Year Annual Research Report
フィレンツェにおける君主政の成立と有力者層の存在形態
Project/Area Number |
06610356
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
斉藤 寛海 信州大学, 教育学部, 教授 (00020628)
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Keywords | フィレンツェ毛織物工業 / リヴォルノ憲章 / トスカ-ナ大公国国制 |
Research Abstract |
本年度において刊行された、本研究テーマに直接・間接に関連する具体的なテーマは、次のとおりである。 1)故・星野秀利氏(ボロ-ニャ大学教授)の著書『中性後期フィレンツェ毛織物工業史』を翻訳・出版したが、この著作はフィレンツェの重要産業の一つである毛織物工業の展開を、ひいてはそれに関係する有力者層の存在形態を認識する上で有益であった。 2)また、「1593年6月10日の特許状」すなわち通称「リヴォルノ憲章」とよばれるものを、先にマニュスクリプト原本から転写・刊行しておいたテクストに基づいて、翻訳したが、この憲章の内容は、16世紀末以降のトスカ-ナ商業ではユダヤ人商人の活躍がきわめて重要な意味をもつこと、換言すればフィレンツェの有力者層の商業などからの撤退が明確化したことの貴重な証言であるといえよう。 3)さらに、18世紀初の史料(最近刊行された)に基づいてトスカ-ナ大公国の国制概要を検討し、研究ノートとして刊行したが、この史料は君主政期の国制の輪郭を認識する上できわめて有益であった。 上記のように、君主政成立前、および後の有力者層の存在形態を、それぞれ部分的にではあるが具体的に認識してきたので、今後は君主政の成立の要因の一つとして、その役割追求していく段階にある。
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