1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610380
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
植野 浩三 奈良大学, 文学部, 助手 (80140474)
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Keywords | 初期須恵器 / 須恵器窯跡 / 須恵器生産 |
Research Abstract |
平成7年度は、最古段階の須恵器を出土した消費地の遺跡の検討を中心に行った。昨年度に実施した、窯跡資料を用いた最古型式の設定が、実際に妥当性をもつか否かを消費地の遺跡で検討した。 主に次の2遺跡について検討した。1は大阪府堂山古墳であり、2は大阪府久米田古墳群である。両者の古墳出土須恵器について、出土状況や種類を検討し、さらに形態・技法・文様等の分析を行い、所属時期や型式比定を行った。その結果、両者とも比較的まとまった短時間の資料であることが判明し、このことから、各古墳の須恵器は、限定された窯跡から選ばれたことを予想され、最古型式の設定が妥当性をもつと判断した。 TG231号窯跡やON231号窯跡、さらにTK73号窯跡等が同時期に操業をしていた場合は、消費地に運ばれる須恵器には、各窯跡のものが混合する可能性が存在するが、今回の資料ではそれは認められず、各型式に当てはまるものが、単独で存在していたことから、TG231型式からTK73型式への変遷は正しいと考えられ、その間にON231号窯跡が操業されていたことが確実になった。 こうした変遷を基に、日本における須恵器生産の開始と展開を再検討した。TG231型式段階には、朝鮮半島から直接渡米した工人が、北部九州・四国・中国と近畿(陶邑)において操業(渡来型)するが、その後しばらくは築窯されず、ON46段階に、陶邑窯から各地に拡散(国内波及型)していく様相が追認でき、出現期とその後のあり方に差が存在し、出現期の特色が明確になった。 渡来型の系譜や朝鮮半島との交流史研究は、現段階では資料不足であり、将来的に本研究の成果を基に、日韓における資料の蓄積をまって言及していくことにしたい。
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Research Products
(1 results)