1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610396
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 善明 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10026825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 賢徳 京都大学, 総合人間学部, 教授 (90122142)
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Keywords | テニヲハ / 手爾葉大概抄 / 姉小路式 / 春樹顕秘抄 |
Research Abstract |
古今伝授の一環であった『手爾波大概抄』と『姉小路式』と通称されるテニハの秘伝書は、中世の日本文法研究の二つの流れとして、国語学史上注目されてきた。その二つの関係については、「一方から一方が出来たと言ふ程の密接な関係はない様である」(橋本進吉「国語学史講義」)、「出葉抄(姉小路式の旧本)は手爾波大概抄の増補とか敷衍とか認めなければならぬ関係をもつてゐるものでなくて別箇の著作といはねばならぬであらう。しかし、この出葉抄の基礎は恐らくは手爾波大概抄から出たと見らるるであらう」(山田孝雄『国語学史要』)といった見解から大きく出る評価は見られない。これらの見解は、概ね伝授の系統についての分析と、内容の構成と配列の比較といった観点からの、つまりは狭義の国語学史的な立場からの評価であって、文法体系的な視点からの検討は十分とは言えない。その視点は、まさしく本研究のテーマとするところである。それらについて具体的に引用和歌の分析なども含めて、代表者と分担者で討議を進めた。その展開の中で、二つの流れをそれぞれに承ける『手爾波大概抄之抄』『春樹顕秘抄』などについても討議が及んだ。またその資料としての中世と近世前期の文献について、基礎的な対校が出来るようにテキストを整えた。 分担者内田賢徳は、上代日本語の文構造を考えるための資料として、『萬葉集』と比較できる分量を持つ殆ど唯一の文献である『古事記』の中で、確実な日本語の文はどのように解析されるかを、訓話を援用して二つの論文として著した。またその内容について、代表者と討議した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 内田賢徳: "古事記歌謡と訓字" 上代文学. 74. 65-78 (1995)
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[Publications] 内田賢徳(共著): "古事記研究大系4 古事記の言葉" 高科書店, 420 (1995)