1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610403
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 孝庸 新潟大学, 人文学部, 教授 (90143742)
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Keywords | 平曲(平家琵琶) / 譜本 / 平家正節 / 一方流 / 八坂流 |
Research Abstract |
本研究は、「平曲伝承資料」(平曲譜本、平曲指南書類、盲人資料)のうち、主に「平曲譜本」の調査・複写収集・検討を目的とするものである。 本年度は、「国風音楽会」(名古屋市)に所蔵される『平家正節』実物調査を行うことができた。ここは、名古屋平曲(盲人による平曲の伝承が現在も維持されていることでも、非常に貴重な組織である)の拠点でもあり、譜本は『平家正節』一点(40冊)であるが、まとまったものとして貴重な譜本であることが確かめられた。また、「八坂流訪月」を『平家正節』の体系の中にくみこんで保存している点でも重要な譜本とみるべきであろう。「八坂流訪月」の譜本に関しては、この「国風音楽会」所蔵本の調査によって、現在その所在が判明している譜本すべての調査が完了したことになるのである。平曲の二大流派として名高い「一方流」「八坂流」に関しては、特に「八坂流」の実体的な研究が遅れていたのであるが、その基本的な手掛かりがこの「八坂流訪月」である。その検討結果は近いうちに発表したいと考えている。 なお本研究は追加調査が必要であるが、これまでの調査・収集の結果を適宜整理した後、改めて研究計画を立て直したいと考えている。 また「平曲譜本」以外の「平曲伝承資料」であるところの「當道資料」に関しても、新たな伝本の情報を得ている。出来る限り調査の機会を設定して、本研究を継続したいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鈴木孝庸: "八坂流平曲について" 平家物語八坂系諸本の総合的研究. 68-70 (1996)
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[Publications] 鈴木孝庸: "<語り>との関連" 平家物語八坂系諸本の総合的研究. 87-88 (1996)
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[Publications] 鈴木孝庸: "平曲における和歌の扱い方について" 新潟大学国語国文学会誌. 39. 79-87 (1997)