1995 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国における「諷刺芸術」の研究-中国漫才(相声)とロック(揺滾音楽)における諷刺の諸相
Project/Area Number |
06610422
|
Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
弓削 俊洋 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (20200868)
|
Keywords | 相声 / 揺滾(音)楽 / 芸能 / 諷刺 / 崔健 / 何遅 / 現代中国 |
Research Abstract |
1994年から2年間にわたって継続してきた本研究においては、(1)「諷刺」という明確なテーマのもとに、相声と揺滾音楽の二つの芸能を統括し、中国社会で果たしてきた役割を総合的、歴史的に整理分析する、(2)必要な目録等を作成して、いまだ充分でない基礎研究の充実を図る、という二点を目的にして研究を進めてきた。 本年度はその成果を「研究成果報告書」(1996.3,A-4版、58頁)にまとめた。 まず相声に関しては、1950年代から1980年代にいたる論爭や作品を取り上げて、作家何遅(He-Chi)など関係者たちの理論的貢献と、実際の作品のなかで展開される諷刺を検証し、厳しい環境のなかで継承されてきた相声の「戦闘的伝統」を明らかにした。(『研究成果報告書』第一部) 続いて揺滾楽については、1989年の天安門事件を境にして体制讃美から反体制へと意味を逆転させていく歌、題名に「紅(赤)」のつく歌などをとりあげ、巧みな表現とパフォーマンスを駆使して、辛らつで巧妙な諷刺を行う崔健(Cui-Jian)の音楽世界の特徴を明らかにした。(『研究成果報告書』第二部) 最後に、基礎研究充実という課題の面では、芸能専門誌『曲芸(Qu-Yi)』に掲載された相声作品・評論・記事の題目総覧を完成させることができた。(『研究成果報告書』第三部) なお本研究には、新たな作家や作品の発掘と分析、中国における諷刺概念の再検討などの課題が残されており、引き続き研究に取り組んで行く必要がある。
|