1995 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータによる初期近代英語訳聖書のコンコーダンス作成と語彙研究
Project/Area Number |
06610437
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 秀樹 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (30191787)
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Keywords | 初期近代英語 / 英語聖書 / William Tyndale / コンピュータ / コンコーダンス / OED on CD-ROM / 欽定訳聖書 |
Research Abstract |
平成7年度には前年度の準備的研究をふまえ、Oxford English Dictionary on CD-ROMを用いて、William Tyndaleの著書からの引用が見られる同辞書中の見出し語一覧表を作成した。Tyndaleはギリシア語原典から初の英訳聖書翻訳を行った英国人であり、後に出版された『欽定訳聖書』の訳文もその8割以上をTyndale訳に負っていることから、同人の使用語彙を精密に調査分析することは、初期近代英語の様相を明らかにすることに直接に繋がるものである。 前年度の業績である論文「『欽定訳聖書』に見られる表現‘while the world standeth'の系譜」については、その後も調査を続け、その結果を第67回日本英文学会大会(平成7年5月20日)の研究発表において口頭発表し、さらに改訂した形の論文を記念論集に発表した。『欽定訳聖書』にただ一回現れる‘while the world standeth'(永遠に)という奇妙な表現がTyndale訳に由来すること、Tyndale訳新約聖書には他にも5回類似表現が現れていること、この表現の原型は既に古英語にも見られることを明らかにした。 平成8年度は本研究の最終年として、上記の一覧表の改訂と印刷公開、Tyndale訳新約聖書初版(1526)のコンコーダンス作成、そして上記論文の研究テーマをさらに追求し、英文論文を作成して外国雑誌に発表することを目指す。 本研究ではOxford English Dictionary on CD-ROMを主たる研究の道具としているが、この電子化英語辞書についての一連の研究成果は内外で認知されるところとなり、平成7年度には同志社大学で講演を依頼された。平成8年度にはコペンハーゲン大学で開催される国際辞書学シンポジウムで口頭発表を行う予定である。
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[Publications] 渡辺秀樹: "「OED第2版に見られる英語学者・言語学者からの引用例」" 英語コーパス研究. 2. 111-126 (1995)
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[Publications] 渡辺秀樹: "「OED第2版・DC-ROM・引用文」" 英語青年. 96. 142- (1995)
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[Publications] 渡辺秀樹: "「最近刊行の中世英語アンソロジー」" 英語青年. 96. 313- (1995)
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[Publications] 渡辺秀樹: "「最近の英語聖書研究とTyndaleの復活」" 英語青年. 96. 527 (1995)
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[Publications] 渡辺秀樹: "「Otto Jespersen没後半世紀の再評価」" 英語青年. 96. 695- (1996)
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[Publications] 渡辺秀樹: "「欽定訳聖書の表現‘while the world standeth'の系譜」" 奥田博之教授退官記念論集. (1996)