1994 Fiscal Year Annual Research Report
Mental lexiconにおける屈折と派生についての研究
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06610445
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
島村 礼子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (80015817)
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Keywords | メンタル・レキシコン / 屈折 / 派生 / コネクショニズム / 形態論 / 規則 / 言語習習 / 生成文法 |
Research Abstract |
英語の動詞の過去形について、現在、Pinker and Prince 1988,1991らの主張と、connectionist modelを提案する人々の考え方とが対立している。後者は規則の存在を一切認めないのに対して、前者によれば、不規則動詞の過去形は連想記憶(associative memory)の中に貯蔵されているが、規則動詞の過去形はデフォルト(default)規則によって生成されるという。本研究では、屈折だけでなく派生に関しても、デフォルト規則が存在することを明らかにした。形容詞に-nessの付いた語(例:happiness)と動詞に-erの付いた語(例:driver)はデフォルト規則によって生成されると考えられる。 日本語に関しても、「-さ」の付いた語(例:[重さ])を「-み」の付いた語(例:「強み」)と対比した場合、英語の-nessの付いた語といろいろな点で平行性が認められることが分かった。したがって、「-さ」の付いた語もデフォルト規則で生成される可能性がある。 デフォルト規則によって生成される派生語があるとして、次に考察しなければならないのは、それ以外の派生語はmental lexiconの中でどのように他の同形の派生語や基体と関係し合っているのかということであろう。現在もPinkerらとconnectionist modelの間に活発な論争が続いており、今後は、屈折形態論に関する両者の主張を綿密に比較・対照しながら、これら2つの対立する考え方が、派生形態論とどのように関わってくるかを考察してみたい。
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Research Products
(2 results)