1994 Fiscal Year Annual Research Report
日系アメリカ文学と太平洋戦争-ヒサエ・ヤマモトを中心に-
Project/Area Number |
06610450
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 岩夫 立命館大学, 法学部, 教授 (30066675)
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Keywords | ヒサエ・ヤマモト / 日系アメリカ文学 / アジア系アメリカ文学 / 太平洋戦争 / 強制収容所 / 日系アメリカ人二世 |
Research Abstract |
1.1930年代および太平洋戦争時(強制収容所内)におけるヒサエ・ヤマモトの作品の収集を、ロサンゼルスで発行されていた『加州毎日』と収容所内の新聞Poston Chronicleの調査を通して行い、全作品のタイトル一覧表の作成をほぼ終了した。太平洋戦争前のヤマモトの作品はエッセイがほとんどを占めており、その数は約230編であると判明した。短編を中心とする戦後の彼女の創作活動とは極めて対照的である。今までヤマモトは小説家として研究・批評の対象となってきたので、エッセイストとしてのヤマモト研究が欠落していたといえる。 ヤマモトのエッセイは、日系人社会にとって厳しさを増しつつあった1930年代の中にあって、皮肉とジョークに彩られた、才気溢れた文章にその特長がある。ヤマモト(1921年生まれ)は14歳の時、初めて『加州毎日』に作品が掲載されたと言われているが、1935年の『加州毎日』にはこの作品を見つけることができなかった。本当に掲載されたのか、疑問が残る。 2.太平洋戦争中の収容所内での執筆活動として、創作が一篇(強制収容所行きの列車を舞台とするミステリ-風短編)とエッセイが数篇あることが明らかになった。この創作の中に、強制収容にたいする日系人の複雑な感情を窺うことができる。また、収容所内の新聞に、ヤマモトの消息に関する記事も見られた。 3.太平洋戦争前の『新世界新聞』(サンフランシスコ)を現在調査中であるが、ヤマモトの作品はまだ見つかっていない。
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