1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610460
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新田 春夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00012443)
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Keywords | ドイツ語 / ドイツ語史 / 近世ドイツ語 / 統語論 / 語順 / 枠構造 / テクスト言語学 / Textsorten |
Research Abstract |
ドイツ語は中世以降、書き言葉的・規範的性格を強めてきたと考えられるが、本研究は、そのようなドイツ語文構造の成立過程を、ジャンル別、時代別に構築したテキストコーパスに基づき、従来の文文法的枠組みを越えて、テキスト言語学的・語用論的視点から記述しようとするものである。 今年度はボン大学のテキスト・コーパスから上部ザクセン・チューリンゲン、および、東フランケン地方で成立した14-17世紀のテクストにおける接続詞wande,weil,denn、および、複文の発展について考察を行った。その結果、次のような新たな知見が得られた。 1)現代ドイツ語におけるweilとdennの区別は、前者が命題間の論理的因果関係を表すのに対し、後者は話者の主張の根拠を述べることを表すモダリティ表現である点にある。このような区別は16世紀に成立したことがテクストにおける調査から明らかになった。 2)中世語におけるwandeは近世にはいって主文と副文の区別が明確になるにともに衰退し、weilとdennが使われるようになった。しかし、主文と副文の区別は定動詞の位置によって明確なのであるから、本来接続詞を異にする必要はないはずであるが、それはwandeがwann/wennに弱化したことにより、時間関係、比較などの用法まで多義化したことが原因であることが明らかになった。 3)接続詞の発達、副文と主文の区別の確立、文構造の複雑化などは単に伝達内容の表現の精密化を可能にしたのみならず、weilとdennの区別にみられるように、テクスト構成上の新たな手段を提供することとなったことも確認された。
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[Publications] Nitta,Haruo: "Die Wortstellung des Fruhneuhochdeutschen unter besonderer Berucksichtigung der Satzklammer" Zeitschrift fur deutsche Philologie. 371-381 (1996)
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[Publications] Nitta,Haruo: "Zur Entwicklung der kausalen Konjunktionen im Fruhneuhochdeutschen" Festschrift fur Prof Eijiro Iwasaki(Dogakusha Verlag). 161-180 (1997)
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[Publications] Nitta,Haruo: "Versuch einer textlinguistisch-pragmatischen Erforschung der Worstellung des Fruhneuhochdeutschen" Mattheier/Nitta/Ono(Hrsg):Gesellschaft,Kommunikation und Sprache in der fruhen Neuzeit Deutschlands. 41-53 (1997)