1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06610475
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大竹 孝司 獨協大学, 外国語学部, 教授 (50203815)
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Keywords | モ-ラ / 音節 / コーダ・コンディション / 音声知覚 / バイリンガル |
Research Abstract |
最終年度では、次の3点について研究を行った。第1は、日本語と外国語のモノリンガル話者及び日英語バイリンガル話者の心内辞書表示の音韻単位を明らかにする研究である(発表論文3)。これは昨年度に発表した論文で用いた実験方法を改善した手法(語頭から2つ目の分節点を指摘する方法)により調査を行ったもので、対象となった話者は、日本語話者、英語話者、日英語バイリンガル話者である。これらの実験の結果、いずれの話者においてもモノリンガル話者は、外国語に対しても母語と同じ音韻単位を用いる可能性が高いことが分かった。一方、日英語バイリンガル話者の場合には、バイリンガルの度合いが低いとモ-ラの音韻単位を、高いと音節の音韻単位を用いる可能性あることが分かった。これらのことから、心内辞書表示の音韻単位とこれまで先行研究で明らかにしたオンラインの音声知覚の単位との間には密接な関係が存在する可能性がある。 第2は、音節とモ-ラの関係を明らかにする研究である(発表論文1・2)。今回の研究では、鼻音モ-ラの認識には、音韻論で論じられているcoda conditionと密接な関係があることをオフライン時とオンライン時に2つの条件下おける音節とモ-ラの2つの単位の関係について明らかにすることを試みた。その結果、モ-ラの認識には音節の情報が関与している可能性が高いことが分かった。 第3は、日本語の単語の認識における韻律の情報の役割である(発表論文5)。上記の研究では音声知覚における音韻単位の問題を扱ったが、この研究で音韻単位の認識に加えてピッチアクセントの情報が単語の認識に関与していることを明らかにすることを試みた。その結果、日本語の標準語話者は単語の認識の際にピッチアクセントの情報を用いている可能性が高いことが分かった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Otake,T.and Yoneyama,K: "Can a moraic nasal occur Word-initlally in Japanese?" Proceedings of the International Conferenci on Spoken language Processing. Vol.3. 2454-2457 (1996)
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[Publications] Otake,T.,Yoneyama,K.,Cutler A.and Van der Lugt,A.: "The vepvesentation of Japanese moraic nasals" Journal of the Acoustical Society of America. 100(6). 3831-3842 (1996)
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[Publications] 大竹孝司・山本圭子: "日英語のモノリンガル話者とバイリンガル語者の心内辞書表示" 情報科学研究. 14号. 31-41 (1996)
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[Publications] 大竹孝司: "音声言語の知覚の単位と音韻単位:音節とモ-ラ" 音韻研究-理論と実践. 175-178 (1996)
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[Publications] Cufler,A.and Otake,T.: "The Processing of word prosody in Japanese" Proceeding of the Sixth Australian International Confereui on Speech Science and Technology. 599-604 (1996)