1994 Fiscal Year Annual Research Report
読解過程における推論の働きに関する実証的研究とその応用
Project/Area Number |
06610477
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
天満 美智子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20055271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村杉 恵子 金城学院大学, 文学部, 助教授 (00239518)
田近 裕子 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (80188268)
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Keywords | 読解過程 / 推論 / インファレンス / テキスト理解 / 読み手 / 背景知識 / 物語り理解 |
Research Abstract |
1.テキスト読解において、elaborative inferenceと言われる推論は、一般的にはテキスト読解の後におこなわれるとする考え方がしばしばなされてきた。すなわち、テキストに明示的には示されない事柄に関して読み手がおこなうインファレンスは、読後に何か質問をされたり、テキストの背景となる経緯を読み手が明らかにしようとする時に行われると言われてきた。しかし、最近、必ずしもそうではないとする考えが提示されるようになってきた。本研究において高校生や大学生を被験者とした英文読解における推論を調べた結果、テキスト中の出来事に関する明示されない因果関係については、多くの読み手が読解のかなり早い段階からさまざまな推論を試みていることが分かった。この推論の内容は個人によってさまざまであるが、ある類型が見られた。 2.読解過程における推論では、道具に関する推論(instrumental inference)や、state inferenceと言われる、状況に関する推論はあまりおこなわれないことを報告している研究が多いが、本研究においても類似した結果を得た。本研究では、state inferenceがおこなわれるかどうかを、多くの推理を必要とする複雑な探偵物語の理解で調べたみた。被験者は、出来事に関する推論は、テキスト理解の過程で常に行っているが、一方、主要なストーリー展開に支障がないと判断すると、state inferenceができるかどうかに関してはあまり拘泥しない傾向を示した。state inferenceをどの程度おこなってテキストを理解していくかについては、個人による差がかなりあるようである。(30字×23行)
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